ここまでタイプ別のコミュニケーション・スタイルを紹介してきたが、今回はインタラクション・スタイル編の最終回となる。最後はバックグラウンドタイプとして知られるISFJ、ISFP、INFP、INTPを紹介する。4つのグループの中で、最もコミュニケーションに読解力を要するタイプと言ってもいい。INTPの説明文で「考えていることが複雑で他人に理解されにくい」と書かれているが、「話し方が回りくどく他人に理解されにくい」のがバックグラウンドタイプである。

バックグラウンドタイプは目立たない。「本当は目立ちたいけど目立てない」か「目立ちたくないから目立たないようにしている」かは別として、文字通り舞台裏にいて、お声がかかるのを待っている人々である。しかし「目立つ」とは必ずしも良いことではない。「目立つ」とは本来の在り方から外れていて、人に違和感を与えた結果として目立つ場合もある。いわゆる「悪目立ち」というやつである。まあバックグラウンドタイプにも目立つ機会はある。彼らが無意識や潜在意識のタイプに移行すれば、衆目を集めることもあるだろう。

バックグラウンドタイプはインフォマティブ・レスポンド・コントロールの特性を持つ人々である。彼らは内向型であり、自分から人に働きかけるより、人々が自分の元へやって来ることを好む。バックグラウンドタイプは、いつ人に話しかけられてもいいように、色々な情報を仕入れている。しかし目立たないので、それらを披露する機会はなかなか得られない。彼ら自身も自分から披露したいとは思わない。放っておかれれば、いつまでも一人遊びしているタイプである。

彼らはコントロールタイプなので、何事も自分のペースでやりたがる。一見するとフレンドリーで何でも言うことを聞きそうな雰囲気を醸し出しているが、実際は頑固である。彼らに何かやらせたい場合は、意思決定の自由、ペースを決定する裁量権を与えなければならない。バックグラウンドタイプは最も完成度に拘るタイプであり、急かされることを嫌う。ペースが速い時もあるが、それは彼らが「急がなければならない」と判断した時に限られる。他人が「急がなければならない」と判断しても、彼らのペースは変わらない。むしろ、さらに緩慢になるかもしれない。

ISFPが自由をコントロールできないと感じた時、彼らは怠惰になる。彼らに家事のようなルーチンワークを任せてはならない。任せるなら、彼らの気分次第で「食事抜きの日」「風呂に入れない日」がランダムに発生することを了解しておく必要がある。「家事ならISFJにやらせればいい」と思うだろう。しかし、そうは問屋が卸さない。何が果たすべき義務であるか、それをいつ果たすべきか、決めるのはISFJ自身である。この決定に他人が介入しようとすると、義務の執行は延期される。内向型だからと言って、何でも人に主導権を渡したいわけではない。

気分が良ければ、ISFPは「職人」として最も完成度の高い芸術作品を作り出せるポテンシャルがある。これは同じFiヒーローであるINFPにも言えるが、彼らが状況をコントロールできていないと感じると、彼らの気分が悪くなってしまうので、仕事や対人関係に支障をきたすことになるだろう。

さらにSiチャイルドであるINTPとINFPにはコンフォートゾーンの問題がある。彼らは自分が定着した環境からなかなか離れることができない。たとえその環境に問題があったり、何か実行しなければならないことがあったとしても、彫像のごとく動かないのである。彼らはコントロールタイプなので、状況をコントロールできないことにストレスを感じる。その一方で、Siチャイルドはその状況に甘んじていることに、一種の心地よさも覚えている。よく「INxPは社会不適合者」と言われるが、この言葉は正確ではない。本当の問題は、「自分に不適合な社会に安住していること」なのである。この状態に陥った彼らは、自分も他人も信じていない。召命を果たすためには旅に出なければならないが、自分の未来への疑念に囚われて前に進めないのである。しかし、彼らが自分を救うために自主的に行動することは極めて難しいので、何かしらの痛みや脅威を与えて、動かざるを得ない状況に追い込む必要がある。自分のコンフォートゾーンから足を踏み出すこと、これが両者の課題であろう。

ISFPは自分の経験に満足しないので、常に新しい経験を提供しようとする。だから彼らがINTPやINFPのような問題に直面することは稀である。ISFPが自由を奪われると怠惰モードに突入するので、彼らのことは放っておいた方がいい。ISFJは自由よりも自分が快適であることを重視する。Seネメシスは外界から与えられる経験にストレスを感じるので、自分の快適性を維持するためには金を惜しまない。だから社会人としての義務を果たしている割に、貯金がなかったりする。しかし義務を果たすためならば石にかじりついてでも金策するので、貯金がないことが表沙汰になることは滅多にない。

インフォマティブとの会話では文脈を読んで反応する必要がある。人類は「空気も文脈も読めない人間」「空気は読めるが文脈は読めない人間」「読めるけど無視する人間」「無視されて怒る人間」など混沌とした世界の中で生きている。普通の人間は「インフォマティブ」という概念など知らないので、「ただ気持ちを聞いて欲しいだけ」であることが女性の問題点として一般化されてしまうが、これは男女を問わずインフォマティブに見られる特徴である。私のところにも、「ただ意見を聞いて欲しいだけ」のINTPから質問が寄せられる。

「最後まで聞いたけど何が言いたいのかわからない」と思ったとしても、彼らは必要な情報を全て提供したつもりなのである。そこで適切に反応できなかった場合、彼らとの関係は悪化するだろう。しかし関係が悪化したことに気づくのは、時間が経ってからであることが多い。彼らがその場であからさまに怒りを表現することは珍しい。バックグラウンドタイプはいずれもTeに問題があり、事を荒立てて自分が世間にどう思われているか、白日の下に晒すことを避けようとする。社会的なルールや規制で裁かれるような状況に陥りたくないのである。しかし彼らは覚えている。SiクリティックであるISFPは過去の経験に批判的であり、出来事の詳細は忘れてしまっても、自分を不快にした人間には相応の経験を返すだろう。「FP」というファンシーな語感に油断してはならない。

今回はバックグラウンドタイプの人々について紹介した。彼らは内向型だが、他人にコントロールされることを好まない。彼らのペースを尊重し、不可解な話し方から真意を推し量ることが重要である。これで4つのインタラクション・スタイルについて理解することができただろう。4つの気質と4つのインタラクション・スタイルによって、自分や他人のタイプを知ることができる。テストの問題点やタイピングの補足事項についても記事を投稿するかもしれないが、基本として抑えてもらいたいのはこの二つの要素である。次のシリーズでは16タイプの生態について紹介する。