前回の投稿では人間の育成について紹介した。性格タイプと深層心理学は人間の本質についての分析だが、育成についても理解しなければ片手落ちになる。ベン図の話を思い出してもらいたい。一方の面は人間の本性、もう一方の面は人間の育成である。二つの円を重なり合わせると、精神と環境を兼ね備えた人間が成立する。このモデルを使用して、親密な関係がどのように機能するか説明できる。これを人間の魅力ダイナミクスという。
このシリーズの最後には、人間の魅力ダイナミクスがどのような要素で構成されているか、まとめる予定である。私が話しているのは男性と女性の関係である。世の中には同性愛者、LGBTの人々が存在することは承知しているが、ここでは男性と女性に焦点を当てる。LGBT内でどのカテゴリが男性的で、どのカテゴリが女性的なのかという問題に関わりたくないからである。聞いた話では、彼らの世界にもカーストがあるらしい。
つまり、人間の魅力ダイナミクスは男性と女性の親密な関係が機能する仕組みについて理解を深めるモデルである。これは基本的に三次元の陰と陽として考えて欲しい。中心にあるのは男性と女性の実際の関係である。これを「愛と尊敬のゾーン」とする。ここで重要なお知らせだが、女性が男性に「愛している」と告げることは、本質的に大した意味を持たない。
そもそも「愛」にも様々な形の愛がある。エロスの愛、フィリアの愛、アガペーの愛。「私はあなたを愛している」がどういう意味の愛かはさておき、男性に好意を伝えるのに理想的な言葉ではない。一方、女性に「あなたを尊敬している」と言ったらどうなるか?やはり、劇的な反応は得られないだろう。男性にとって愛が最重要事項ではないのと同様に、女性にとっても尊敬は二の次である。陰陽のシンボルを想像して欲しい。黒の面積は男性的な要素、尊敬を表している。
そして白い部分は女性的な要素、愛を象徴している。全ての女性は愛されることを求めている。彼女たちのことを気にかけて欲しい。聖書の格言には「友の為に命を捨てなさい。これより大きな愛はない」とある。誰かの為に弾丸を受ける。これ以上の愛はない。女性が望んでいるのは、これ以上がない愛である。男性が付き合っている女性の為に弾丸を受ける気がないのなら、その関係は終わらせた方がいい。そして、女性は付き合っている男性が自分の為に弾丸を受ける気がないのなら、その男性と結婚するべきではない。愛しているが、犠牲を払う気はない。そこには矛盾がある。
女性は、自分と同様に男性も愛を求めていると思っているので、「愛している」と男性に言うが、男性が求めているのは愛ではなく尊敬である。だから「あなたを尊敬している」と言わなくてはならない。彼らには敬意が必要である。消費する以上に生産している男性は、全て敬意に値する。そうではないならば、ゴミ箱に放り込んで忘れてしまった方がいい。そういう無責任な男性と関係を結んで、子供を作るべきではない。
生産性のある男性は王国を持ち、王となる。そして女王と子供たちの責任を負い、いずれは長老になる。もし彼らが王なら、立場を尊重されなければならない。女性に尊敬されていると感じられれば、男性は彼女を愛するようになる。男性に愛されていると感じられれば、女性は彼に敬意を表するようになる。逆に愛情に欠けていると感じれば、無礼になる。これは単純な陰陽の仕組みである。女性にとって、尊敬とはシンボルの白い部分にある、黒い点のようなものなので、白い部分に愛を注がなければならない。それを与えるのが男性の根源である。
一方、男性は尊敬されたい生物である。確かに男性も愛されたいとは思っているが、尊敬されるほどではない。もし彼らが王であり、消費する以上に生産する仕事を持っていて、責任と高潔に焦点を当てる男性なら、尊敬すべきであろう。特に妻である女性、あるいは妻になる予定の女性は、これを心に留め置いて欲しい。敬意の定義?それは愛に従うという選択である。そのうち敬意について深淵な洞察をしたためた記事を投稿するかもしれない。私のような人間にとって、これは面倒なことがある。私が普通に話しているだけで、頭の良くない男性は敬意を払われていないと受け取るのである。
愛と尊敬について詳しく知りたい人は、エマソン・エグリッチの「愛されたい妻と尊敬されたい夫」という本を読むといい。由来が宗教なので、いちいち神を持ち出して説教くさいところはあるが、メッセージは明確でわかりやすい。男性は尊敬を好み、女性は愛を好む。あなたが女性である場合、付き合っている男性を尊重しているか鑑みる必要がある。尊重していないなら、それは彼が自分を愛していないからか、それとも尊敬に値しないからか?そして男性は、女性が自分に敬意を示しているか自問する。
親密な関係においては、両者が貢献しなければならない。男性は女性に愛を与え、女性は男性に敬意を払う。敬意を払うとは、言葉以外にも手段がある。例えば、男性に話しかけずに側にいる、ということも敬意になる。そして、関係が上手くいかない場合、本質の問題、性格やタイプの相性が原因かもしれない。これは別の機会に取り上げる。あるいは、愛や尊敬の量に不均衡があるかもしれない。育成面で相性が合う場合もあれば、合わない場合もある。どちらかが十分な愛、または尊敬を得ていない。それは成熟の欠如、あるいは相性の違いに根差すものかもしれないが、両者が相手に必要な愛と尊敬を与えなければならない。
しかし、殆どの人間関係はここに問題がある。彼らは「自分がこうしたら、相手はこうしてくれるだろう」という秘密契約の世界に住んでいる。その契約条件について話し合わなければ、関係は破壊されるだろう。自分の境界線を設定し、恋人と自分の基準を定めて、「私はあなたに十分な愛情を与えているか?」「あなたは私に尊敬されていると感じているか?」と尋ねるのである。
また、二人のうち片方が病気になったとする。そうすると病気になった方は相手に愛や尊敬を与えることができず、一方だけが過剰に補償しなければならない。それによって陰陽に不均衡が生じ、問題が起こる可能性がある。したがって、関係を維持するためにはバランスを保ち、お互いが平等に相手に愛と尊敬を与えることが重要である。男性は敬意によって満足し、女性は愛によって充足する。
愛と尊敬のない関係は、必ず破綻するだろう。これが人間の魅力ダイナミクスの最初の要素であり、親密な関係が機能する仕組みである。人間の育成については数多くの要素があるが、親密な男女間で提供すべき基本的な概念が愛と尊敬であることを覚えておいて欲しい。
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