前回は心理機能のエミュレーションについて解説したが、今回は心理機能の楽観性と悲観性について取り上げる。これは人々の間であまり議論されない要素だが、心理機能の態度に大いに影響を及ぼし、行動の由来を理解するのに欠かせない。ということで、例題としてINTJに登場してもらう。

基本的に、人の精神には8つの心理機能が存在する。Niヒーロー、劣等Se、Neネメシス、Feトリックスターなどである。誰もがこれらの心理機能を宿しているが、それぞれの態度は異なる。ヒーローは何に対しても英雄的な視点で考える。ペアレントは責任ある親のように振る舞う。子供が事故に遭わないように、悲観的な見方をする。楽観的な機能と悲観的な機能は互い違いにサンドイッチされる。グラスに入った水を見て、「水が半分もある」と思うのが楽観的な機能、「水が半分しかない」と思うのが悲観的な機能である。それぞれの心理機能はこの態度に関連付けられる。

ヒーローは楽観主義なので、「私の電波は望みまでの道筋を教えてくれる」と確信しているが、親は悲観主義なので「良さそうなデータが見つかるまで確認しなければならない」とヒーローを諫める。INTJは自らの未来を見据え、理想的な道筋を見つけ出すことに楽観的だが、人々の考えに挑戦し、自らの信念を検証するために出典を引用しなければならない。彼らは他の人々の賢さについて悲観的なので、何らかのデータで事実確認をする必要がある。

チャイルドは処理能力や帯域幅においてはヒーローに劣るが、もうひとつの主要な機能と言っていい。ヒーローが1秒あたり100フレームだとすれば、ペアレントは1秒あたり75フレーム、チャイルドは1秒あたり50フレームである。チャイルドは楽観的な機能であり、純粋で神々しい。INTJのFiチャイルドは自分の道徳観や感情について楽観的で、疑問を持たない。Fiがペアレントや劣等機能であった場合、自分の価値について悲観的になるだろう。ヒーローまたはチャイルドは楽観的であり、ペアレントや劣等機能は悲観的である。

次にENTJに登場してもらう。彼らは劣等Fiなので、自分自身の価値観に対して悲観的であり、恐れを抱いている。INxJが人々に悪い経験を与えるのではないかと恐れているように、ENTJは自分が悪人であることを恐れている。INxJたちは運転免許を取らない。取ったとしても、助手席に人を乗せたくない。彼らは教官や同乗者に悪い経験を与えることを恐れている。これは彼らの成長を妨げ、行動不能に陥る原因となる。心理機能が下位になればなるほど、悲観的な色を帯びてくる。ここにもプライマリとセカンダリの概念がある。無意識に移行するとNeネメシスが主要な機能だが、影は二次的な側面なので、ヒーローよりも否定的な見解を持っている。

影は非常に未成熟である。自我が成熟していても、影は未熟である。人が年を重ねて、機能が統合されるにつれて、人は啓発されて賢明になり、影は遥かに成長していく。自我ほどではないが、それでも成熟することはできる。心の主要な側面は自我だが、影もまた重要である。特に発達中の子供たちには、それが顕著である。子供たちは何らかの理由で、心の未熟な側に留まり、彼らの影に存在していることが多い。特に1歳から7歳までの発展途上の時期に起こる。これは彼らの自我が完全に形成されておらず、自分の好みが定まっていないためである。右利き、左利き、両利きの概念は心理機能にも当てはまる。

そのため、心理機能の序列や心の側面がぶれやすい。子供たちはしばしば影に隠れてしまう。彼らは未成熟で、親や環境の影響を受けやすい。彼らの自我が家族に受け入れられないと、子供たちは影を自分自身だと思うようになる。自我が癒されるには、時間を要するだろう。影の中にいても行動することはできるが、それは未熟である程、より悲観的に行動する。しかし、成長すればするほど、楽観的に行動するようになる。影は悲観的なものから、楽観的なものに変えることができる。

同じことが潜在意識にも言える。これは心配を乗り越えた時に起こる。厳密に言えば、潜在意識は悲観的なタイプであるが、これは恐怖のためである。したがって、この側面はデフォルトで悲観的である。恐怖を克服し、INTJが劣等Seをマスターすれば、これを幾らか楽観的なものに変えることができる。心の不安の側面は、願望の側面になる。野心が芽生え、それに対して楽観的に取り組むようになる。超自我は潜在意識に輪をかけた悲観主義で、全世界を爆破したり、深刻な破壊的被害を引き起こすが、その破壊の結果として生まれる生命もある。

このため、人は年を重ねるほどに賢くなり、より統合されて自尊心が高まり、これによって超自我を利用できるようになる。非常に稀だが、この超悲観的な側面を、楽観的な目的で使用できるようにもなる。全ての心理機能には一次と二次、プライマリとセカンダリがあり、どのタイプの心の側面にも一次的な楽観機能と二次的な悲観機能がある。これは心理機能を基にして、どのタイプと互換性があるかという話に関連する。

これを16タイプに適用すると、各タイプがどのタイプと、どの程度に互換性があるか知ることができる。そうすれば、どのタイプと親密になり、どのタイプと仕事上で協力し、どのタイプに売り込みをすればいいか分かる。誰を採用し、誰に雇われればいいかもわかる。これらの質問の答えは、全て心理機能にある。あなたがどのタイプと付き合い、どのタイプと付き合うべきでないか、延々と話し続けることができる。

しかし、それをするには心理機能を分解し、レゴブロックのように組み立てなければならない。そうすると、全ての部分が全体の合計であることがわかる。求めているレベルの互換性を得るために、全てがいかに機械的に適合するかを正確に理解できるようになる。必要に応じて、他のタイプをエミュレートするためのツールを提供することもできる。何しろあなた方は、社会的状況を自分自身と彼らの為に最適化するために、周囲の人々に適応しなければならない。人間の心は順応性が高いが、これは認識を高め、どのように適応できるか、エミュレーションツールをどのように使用できるかを示し、楽観主義と悲観主義を区別することによって可能になる。

例えば、誰かに何かを売りたい時、その人にペアレントがいることを知りたいだろう。あなたの製品を購入させるために、合理的で悲観的なペアレントに訴えるプレゼンテーションをしたいと思うだろう。もしINFJやISFJと親しい関係になりたいと思っているなら、彼らのペアレントに道徳心がある振りをしなければならない。心理機能とその仕組みがわからなければ、エミュレートする方法がわからない。特に互換性が低い場合、不利な状況では八方ふさがりとなるだろう。

どれが楽観的でどれが悲観的かわからない場合、幸運を祈る。私はあなた方ができる限りチャンスを増やし、あらゆる社会的状況において機会を最大化・最適化できるようにブログを書いている。ビジネス・販売・子育て・親密な関係など、人間が交流するあらゆる分野に、これは当てはまる。だから人々がどんな心理機能を持っているかを観察し、自分がその心理機能とどの程度、適合しているか把握することが重要である。これについては、次のシリーズで詳しく説明する。次に16タイプの説明を続け、美徳と悪徳についてわかったら、人間関係の互換性に入り、その先に進行していく。

ただし、何事も基礎が重要であるからして、心理機能に関する細々とした話を先に済ませなければならない。心理機能だけでなく、心の各側面にも楽観的な側面と悲観的な側面があることを覚えておいて欲しい。心理機能自体にも、プライマリとセカンダリ、楽観主義と悲観主義、ソーシャルエンジニアリングを試みる要素と態度がある。弱者が誰かと友達になり、両者の利益のために自分を最適化するには、このことを知っておく必要がある。