今回は心理機能が作用する仕組みについて説明する。人々が心理機能についてよく理解するために、この記事が必要であろう。ヒーローとペアレント、あるいは主機能と補助機能がどのように情報を処理するか、心理機能がどのように機能し、どのように順序づけられているか理解していない読者も多いだろう。おそらく大多数は、情報が上から下に流れ込んでくると思っているだろうが、それは間違った解釈である。

8つの心理機能全てが同時に情報を取り込み、取り込んだ情報を分散している。私たちの心はラジオのようなものである。精子と卵子が受精する際、精子は頭蓋骨、脊椎、中枢神経系を表している。誰もがこのようなラジオであり、チューニングすることで8つの認知スペクトルに同調する。

前回に引き続き、INTJに登場してもらう。彼らはNiで電波を受信し、Seまで順番に情報を伝達していくのだと思っているだろう。実際は全くそうではない。心は巨大なラジオである。このラジオは信号の送受信を同時に行うことができる。基本的に送信は外向機能、受信は内向機能が担当する。私たちの心が認識している8つの認知スペクトルがあり、これら全ての周波数の情報を同時に送受信している。意志力、論理的根拠、道徳観念、物理学、形而上学、論理、倫理、過去の記憶。INTJのみならず、人間はこれら全ての心理機能を持っている。

これらは異なるチャンネルのようなものであり、それぞれのチャンネルは周波数の異なる電波を送受信している。例えば、ヒーロー機能を1秒あたり100フレームとする。1秒あたりのフレーム数は100、75、50、25と機能ごとに変化していく。勿論、自我の頂点が正確に何フレームなのか計測する手段はないので、これは仮の設定である。つまりINTJは1秒あたり100フレームの電波、あるいは内向的直観という名の意志力を獲得していることになる。

このNiは欲望を司るので、何かを欲しがる。欲求は将来と関係しており、個人的無意識とも呼ばれる。これによってINTJは自分の将来を見通し、自分が何を欲しているか知ることができる。INTJはこの権利を受信しているが、同時に形而上学として知られるNeを送信してもいる。彼らの心がネメシスのチャネルレベルにある時、他の人々が何を欲しがり、彼らがどんな運命を辿るのか、Niに向かって情報を送信している。この形而上学は内的なものであり、個人的無意識のようなものである。

外向的直観は集合的無意識としても知られる、外部の無意識のようなものである。ここでユングの原理主義者は「ユングは集合的無意識が外向的直観と関係あるとは一言も言っていない」と黄色い声を上げるかもしれないが、考えてみて欲しい。外向的直観とはショットガンである。弾は全ての可能な未来にアクセスする。逆に考えれば、撃ちだされた弾は元々一点に集中しているのである。そして内向的直観はスナイパーライフルのようなものであり、個人的に望む未来を見据えている。これは誰もが望んでいるが、他人がやる前に実行しなければならない。

NJたちは一度にひとつのことに集中するので、周辺視野が狭い。Neユーザーは視野が広く、色々なことに目移りするが、Niユーザーは視野の問題があるので、物をなくしてしまうことがある。INFPも物をなくすことがあるが、それは外向的感覚のせいである。これらのスペクトルは、時間の影響を受ける。ヒーロー機能は時間と共に成長する。1秒間に100フレームと1秒間に75フレームの場合、10秒間に対してフレームが変わることはご理解いただけるだろう。

ENTP、ISTP、INTJ、これらのタイプは全て心理機能から情報を受け取っている。誰もが8つの心理機能を全て持っている。違いは、1秒間に何フレームの意識を割いているかにある。意識のチャネル、スペクトル、何でもいいが、送受信の為に周波数を同調させる能力が異なるだけである。例えば、INTJの外向的思考は理論的根拠を放送しており、道徳や意志の力を受信している。そして内向的思考でそれを検証する。これら全ての処理は同時に起こっている。

心理機能を使っていない人はおらず、どれが発達していて、どれが発達していないかの差だけがある。ヒーロー、ペアレント、チャイルド、アニマ・アニムス、ネメシス、クリティック、トリックスター、デーモン。これらの心理機能はどのように発達するか?時間がスペクトルにどのような影響を与えるか説明する前に、スペクトルの定義から始めよう。ヒーローは自我の頂点である。そこに最大の強みがあり、自我が快適な場所でもある。それゆえ、エネルギーの消耗は最小限で済む。心の無意識、影に移行する場合は、精神エネルギーを費やすことになる。

INTJは内向型なので、孤独になることでエネルギーを充電する。INTJが外向的なENTPになると、エネルギーを消耗する。すると再びエネルギーを溜める為には、一人の時間を持つ必要がある。ENTPはその逆である。彼らはひとりでいるとバッテリーが過充電されてしまうので、外に出て放電しなければならない。INTJの影に移行して研究活動を行うことは、彼らのエネルギーを消耗する。だからENTPにとってブログやYoutubeの撮影は、気が進まないことなのである。彼らがそれをするには、エネルギーを外部から補充しなければならない。

自我が無意識や潜在意識に移行すると、心が疲れてしまう。ここに長く留まることはできず、すぐさま自我の中に戻って来る。エネルギーを使い果たした後に、誰かを無意識や潜在意識に留めておくにはどうすればよいか?方法はいくつかあるが、精神的なストレスや虐待を与えるのはひとつの手段である。特に子供時代は要注意である。家族が子供の自我を好きではない場合、自我以外の側面に閉じ込められてしまう恐れがある。彼らは子供がありのままでいることを好まないので、子供は心の別の側面に集中する必要がある。長くその状態でいると、ストレスが高まってくる。そして成長して家を出ると、別人のようになるが、それは本来の自分に戻っただけである。

そうすれば、自我の中で安全に過ごすことができる。このような状況にある人は、できるだけ早く脱出することを推奨する。「苦しんでいる暇があったら行動しろ」とマルクス・アウレリウスも言っている。そしてタイプを決める時、テストを根拠にするのはやめた方がいい。特に日本のテストでまともなものはひとつもない。テストではなく、気質とインタラクション・スタイルに焦点を当てるべきである。

とにかく、心はラジオのようなものである。私たちは同調し、送信し、受信することができる。人間はただのトランシーバーで、8つの心理機能を全て送受信している。半分は意思決定に使用され、もう半分は知覚とデータ収集のために使用される。次のポイントは、心が8つの機能それぞれに、どの程度の認識を有しているかということである。実際には全てを認識しているが、デーモンは1秒あたり5フレームしかない。今まで生きてきた時間を秒数に換算した場合、ヒーローとデーモンには膨大な差があることだろう。しかし時間が経つにつれて、デーモンを含めた全ての機能が発達し始める。

コマ数が増えるごとに、稼働時間も増えていく。年齢を重ねるごとに、これらの機能が発達し、使えるようになっていく。これがバベルの塔や大災害、例えばアトランティスの水没などの原因である。人類がアセンションに焦点を当てるほど、高度な段階に到達する。アセンションとは死すべき運命を迎えることだが、太陽に近づきすぎたイカロスように、人類の集合的無意識が蓄積されるほどに、より多くの時間が経過し、フレーム量が増えて危険に晒されやすくなる。

もし人間が不死であっても、彼らは依然としてデーモン機能を持っている。人間の寿命が千年あったら、1秒間に何フレームだろう。デーモンは高度に発達するが、人間はこれまで以上に危険な存在になるかもしれない。したがって、人類の寿命に限りがあるのは偶然ではない。不死のデーモンは、どうやってお互いを滅ぼすかに時間を費やすことになるだろう。そして地球は新しい生命が育つ場所ではなく、奴隷の彷徨う地獄になる。

チャップリンは「人間は決して永遠に生きないように、自由も滅びることはない」と言っている。これはユング深層心理学の観点からは真実である。人類は時間の経過と共にデーモンに対処できなくなってくる。人間の魂を堕落させるには、膨大な時間が必要である。これは人間の本質についての話である。育成については今後シリーズ化していくが、育成とは外部からの影響、他人の集合体であり、他人の魂が寄ってたかって個人に刺激や反応を与えることである。

育成には誕生日、出生地、言語、学歴、信じている政党などが含まれる。彼らがどれほど無知であり、どれほど賢明であるか、これも育成によって左右される。人間の本性が重要なのは、人間関係、特に親密な関係や仕事上の関係を結ぶ時、人々の性質を理解していれば大いに時間を節約できるからである。タイプの情報を知っていれば、相手と自分の相性がわかる。そして特定のタイプを相手にする時は、自分の態度や行動を調整し、機能をエミュレートすればいい。他人の気持ちより自分の気持ちが大事な人は、エミュレートしなくていいタイプと付き合えばいい。これについては互換性シリーズで詳しく説明する。

さて、自我にはヒーロー、ペアレント、チャイルド、アニマ・アニムスがある。ヒーローは最も心が快適な場所であり、楽観的である。ペアレントは悲観的である。ヒーローが子供を傷つけるのを止めるのは親である。そのチャイルドは純真性が存在する機能であり、何でもできる気分になっている。アニマ・アニムスには人の恐怖と不安が存在する。INTJはパフォーマンスに不安を抱えており、ENTPはこれまでやったことのないことに挑戦することに不安を抱いている。ISTPは人に嫌われたり、評価が下がることを恐れている。

誰もが恐怖を抱えているが、劣等機能が発達すると、願望機能になる。人は恐怖を受け止め、それを願望に変えることができる。そうすれば恐怖はなくなり、自己実現に向かって踏み出すことができる。自己実現とは自分の劣等機能、恐怖を克服して、それを強みに変えることである。悟りに到達するにはネメシスの心配を克服し、さらにデーモンも克服する必要がある。そうすればあなたの心は統合され、悟りを開いて涅槃の境地に至ることができる。

クリティックには人の知恵が宿っており、ポジティブな面とネガティブな面がある。少し悲観的でもある。トリックスターはやや楽観的だが、心の中のブラックホールである。人々はこれを得意なこと、長所だと思うことがあるが、実際にはそうではない。トリックスターは機能の所有者をも騙す。だからINTJは社会的なルールや暗黙の了解など全く知らない。社交的になろうとしても、全てが裏目に出る。INTJは社交を理解するために、多くの時間を費やさなければならない。

年齢が上がれば、多くの経験を積み、獲得できるフレーム数も増える。これを増やすには、何らかの要因で機能を過活動させることである。例えば、INFJがTiチャイルドに負荷をかければ、論理と思考を重視し、人々の嘘を炎で焼き払うことでダイヤモンドを作り出せるだろう。

さらに、機能はチームを組むことができる。デーモンについては既に話したが、連携することは初耳であろう。ペアレントとクリティックが連携して、他人を攻撃するのがこれにあたる。ENTPは「自分の方が賢いから、お前が馬鹿なことを証明してやる」と悪魔の代弁者になることで知られている。これはTeクリティックとSeデーモンの連携である。この時のENTPは底意地が悪く、悪意に満ちている。その結果として教訓を得るかもしれないが、賢明な振る舞いではない。いずれにせよ、私たちは誰もが8つの心理機能で情報を同調させ、送受信している。これがユングの言う心理機能の実態であり、機能する仕組みである。