心理機能の軸とは何か?

これまで基本的な8つの心理機能について詳しく話してきたが、今回はその心理機能を結ぶ軸についての話である。心理機能とは、認知に作用する8つのスペクトルである。これはラジオのように同調し合い、8つのスペクトルを介して情報を送受信する。その半分は知覚機能であり、情報収集に使用される。あとの半分は意思決定に利用する判断機能である。

知覚機能同士、あるいは判断機能同士は軸で結ばれている。外向的直観と内向的感覚、内向的直観と外向的感覚が知覚機能、内向的思考と外向的感情、内向的感情と外向的思考が判断機能の軸となる。この軸で結ばれた機能は、一方が他方に影響を与える。内向機能はソースとして働き、外向機能はそれを消費する。倫理的なFeユーザーは、道徳的なFiユーザーの側にいたい。Teユーザーは自分が賢くなるために、Tiユーザーを探している。

例えば、ここにESTJがいる。ヒーロー、ペアレント、チャイルド、アニマ・アニムスが自我を構成し、ネメシス、クリティック、トリックスター、デーモンが無意識を構成する。ここには二つの異なる人格が存在する。自我はESTJだが、無意識にはISTPの心がある。

我々が誰かのタイプに言及する時、その人物の自我にしか着目していない。彼らの脳が一日の大半をそこに費やすことは確かだが、実際には人は4つのタイプを持つ。4つの機能を反転させると、Fi、Ne、Si、Teの潜在意識INFPとなる。超自我として知られる悪魔は、無意識の機能を反転させたものである。Fe、Ni、Se、Tiはメンターとして知られるENFJである。

これがESTJを語る上での基本設定である。Teヒーローと劣等Fi、SiペアレントとNeチャイルドは軸で結ばれており、常にお互いに影響を及ぼしている。これは影にあるネメシスとデーモン、クリティックとトリックスターも同様である。それらは全て同じ軸上にある。誰かのヒーローとペアレントを特定できれば、自動的に残りの心理機能の並び方も確定する。ネメシスならヒーローの反対なのでTi、SiペアレントならクリティックはSe、Neチャイルドなら自動的にNiトリックスター、そして劣等FiならFeデーモンとなる。

この軸によって、彼らが高い倫理観を持っているのか、そうでないのかがわかる。誰かが論理的であれば、その人物は同時に倫理的でもある。誰かが合理的ならば、それは同時に道徳的な人物でもある。あるいは形而上学的認識を持つならば、長期記憶に優れている。自分自身の望みを知っており、その未来の為に集中できるなら、物理的認識にも優れていると言えよう。これらの心理機能は、全て軸上で連携する。

これらは会話の中でも表現される。「私はそう感じるが、あなたはこう思う」、「私が経験したことを、あなたもやりたいだろう」、「私はこのアイスクリームが欲しい、これをあなたも食べた方がいい」、「私が考えていることに、あなたはこう感じた」といったように。この心理機能の仕組みは文章や発言の中に現れ、人々のコミュニケーションを支配する。ESTJの例のように、心理機能は常にこの順番となっており、この順列は決して変わらない。つまり、他のタイプよりも優れたタイプは存在しない。

この軸そのものに意味を与えることもできる。マイケル・ピアースによると、Ne-Si、Fe-Tiは普遍的な機能、Ni-Se、Te-Fiは文脈的な機能である。彼の定義はこの理論に関係ないが、心理機能が特定の軸上で別の軸とは異なる働きをする、という概念は覚えておいて欲しい。

ESTJの自我と、ISTPの影について話を戻す。ESTJは非常に合理的で、組織化されている。彼らは統計に基づいて意思決定を行い、物事を秩序的に実行しようとする。Siペアレントは名誉を重視し、安全と正義感をもって伝統に取り組まなければならない。このSiはNeチャイルドと軸で繋がっている。彼らは他の人が何を望んでいるかに特別な注意を払っている。だから周りの評価を落とさずに、物事を進めることができる。

そしてTeヒーローは劣等Fiと軸で繋がっている。ESTJは自分の道徳的判断に自信がない。また、自分自身の価値についても不安を感じている。ESTJが良い気分になるためには、他の人々に自分を評価してもらう必要がある。TeとFiは互いに連動して機能するため、ESTJは他の人々が考えていることを的確に把握している。これは全てFiを良い気分にするためである。

だからこそ、Teユーザーにとって名声、尊敬、ステータスを獲得することは死活問題である。自分自身がその地位を獲得できない場合、適当な人物の取り巻きになる。これはTeとFi軸によって起こる現象である。そして自我にある心理機能の軸がわかれば、無意識に存在する軸もわかる。ESTJの場合、ネメシスはTiである。彼らは自分の賢さについて心配している。劣等Fiで自分の道徳性について不安を感じるばかりでなく、自分の頭が悪いことも心配しなければならない。だから真偽を確認するために、他の人々の意見を確かめる必要がある。

繰り返すが、ヒーロー、ペアレント、チャイルド、アニマ・アニムス、ネメシス、クリティック、トリックスター、デーモンは全て独自の軸を持っている。ひとつの心理機能を確定すれば、消去法によって、その人物が持つ軸のセットが分かる。そして彼らのタイプを知り、彼らと交流する方法を導き出すことができる。彼らに適合するか、彼らの気分を悪くするために心理機能を利用するかは、あなた次第である。

誰かの劣等機能を攻撃すると、憎まれること間違いなしである。人に教訓を与えたいならクリティックを使うと良い。デーモンは何としてでも避けなければならない。トリックスターには気づいていない。INTPやINFPにはSeトリックスターがあるが、彼らは周囲の物理的環境を認識していない。だから部屋を散らかしたり、ファッションセンスが良くないのである。彼らは他人に与えている経験に気づいていないので、Seユーザーに教えてもらう必要がある。

人間関係全ての側面がカバーされるように、適切な心理的適合性を見つける必要がある。そうすれば周りの全ての人と最高の人間関係を築くことができる。適合する人間がいない場合でも、心理機能の軸が連携するシステムを知っておけば、ビジネスであれ、娯楽であれ、家族関係であれ、どのような社会的状況にあっても、自分の行動を最適化するのに役立つだろう。ソーシャルエンジニアリングについて取り上げるのは先のことになるが、今回は基本的な軸の働きについて理解しておいてもらいたい。

2件のコメント

  1. たとえばヒーローと軸で繋がっているのはアニマ・アニマスでありペアレントやチャイルドではないのはなぜでしょうか (なぜそのように論理が構築されているのでしょうか)。

    • admin

      ヒーロー&アニマ・アニムス同様、ペアレント&チャイルドも全てにおいて正反対でないといけないからです。
      ユング派の中には全ての機能を無作為に組み合わせられると主張している人もいるようですが。
      なぜその元型が使用されているかという意味なら、ビーブが夢で見たからです。

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