「TiとTeの違いは何ですか?」という質問を貰った。心理機能の説明は抽象的でどうとでもこじつけられるし、どの解釈が正しくてどの解釈が間違っているのか、判断するのは難しい。それはもっともな疑問だし、同じように感じる人は多いのではないか。本当は「タイプ論」を読むのが一番いいのだが、ユングの電波と波長を合わせるのは大変だろう。思考の話をしていた筈なのに、何故かアストラル体やテレパシーが登場する世界である。これを聞いて「面白そう」と思ったら素質があるかもしれない。
実際、どのくらいの人が「タイプを分けるのは外向と内向の違い」だと知っているのだろう。ユングも外向と内向の違いが引き起こす問題について語っている。SとN、TとFの違いは話題になるが、「EとIの確執」は殆ど見かけない。私が知らないだけだろうか。私はISTJやISFJよりENTPに違和感を覚えることがある。タイプの領域に留まらず、内面と外面は密接に関連し合っている。心という内面が脳という外面とどのように関係しているかという問題もあるし、類型論に触れると何でも自分や相手の性格の問題と考えがちだが、単に適切な行動を取れていないだけという場合もあるだろう。
「意識の向き」と言うが、そもそも「意識」とは何なのか。TFは判断、NSは知覚と言うが、これらは具体的にどんなシステムを指しているのか。そして心理機能の源は何なのか。これらの問題にもいずれ取り組むことになるだろうが、まずは基本的な話から始めなければならない。
「何が正しくて何が間違っているのか」。これを決定する方法は四通りある。そのうちのひとつが外向的思考となる。アルファベットで表すと大文字のTと小文字のE。これは判断の基準が外界にある思考を意味する。
Teに限らず全ての心理機能は、16タイプのうち半数の8タイプにのみ共有されている。ここで言う「共有」とは、自我にある四つの機能にTeを持つタイプを指す。ヒーローTeはENTJとESTJ、ペアレントはISTJとINTJ、チャイルドにENFPとESFP、そしてアニマ・アニムスにTeを持つのはISFPとINFPとなる。これら8タイプの人々は合理的思考を特徴とする。
彼らは「世間に認められているもの」が大好きである。例えば、学歴、偏差値、資格、ブランド、公式、ステータス。確率の話も好む。「類型は70%程度の有効性があるらしいですよ」とでも言ってやれば、彼らの信頼を得るには十分である。そこで「残りの30%はどうなってるんですか」と食い下がろうものなら、決め台詞「使えればいい」が飛んで来る。彼らの言うことは真実とは何の関係もない。
というのも、彼らにとって重要なのは「皆がどう考えているか」であって、「自分がどう思うか」ではない。この「使えればいい」は、意思決定の基準が自分ではないから出てくる言葉である。少し考えればわかることだが、皆が良いと思う本を読んで、皆に知られている情報だけに触れていたら、皆と同じことしか考えられない。しかし彼らはそれで満足なのである。ユングも「あいつらデータの奴隷だけど意味は分かってないんだよね」と言っている。
なぜTeが合理性に結びつくかと言うと、彼らは「皆が評価すること」に関係ないことはやりたくないからである。だから評価に不必要な真実に拘ることも、評価の基準がはっきりしない皆の感情に合わせることも嫌う。「合理性」と言うとTJの専売特許のように感じるが、FPもやはりこの枠に囚われている。INFPは社会が自分をどう評価するか不安で仕方がないが、INTPを見るといい。彼らは平然としている。何故なら、皆より自分の方が賢いと思っているからである。
前回の自己認識の話もTeの人々にとっては難しかったのではないか。おそらく彼らの思考回路としては、「これが私だもん!日本に公式もあるし大丈夫。『自己認識できてない』とか言われてもどうすればいいの?」といったところだろう。彼らは自分の頭で考えたくないので、権威のある誰か、または頭のいい誰かに教えてもらう必要がある。
私が彼らを見ていて思い出すのは、以前に飼っていた犬のことである。彼は散歩の時間が近づくと「もう散歩の時間じゃん。早くしてよ」と言わんばかりにうるさく吠え付く習性を持っていた。これをTe風に翻訳すると、「こうすれば合理的じゃん。早くしてよ」といったところだろう。確かに私は散歩に行かなければならないが、犬に指図されて嬉しい人間はいない。中には黙って一人で散歩に行く犬や、穏やかに飼い主を懐柔しようとする犬もいるが、本質が犬であることには変わりない。
最後にそんな社会の犬、もとい外向的思考の人々が好きそうな話を教えてやろう。パレートの法則では「上位20%の顧客が売り上げの80%を占める」と言われているが、実際は売り上げの50%しか占めない。売り上げの50%は稀に購入するライトユーザーである。特定ヘビーユーザーを攻めても売り上げは伸びない。しかも、ヘビーユーザーとライトユーザーは入れ替わるので、成功したかったらライトユーザーからノンユーザーまで広くアプローチしなければならない。当たり前と言えば当たり前だが、この意味で、「皆が知っているものが良いものだ」というTeの考え方は正しい。
今回は外向的思考について説明したが、前回も言ったように心理機能は単独で存在するものではなく、必ず機能同士でペアが成立する。Teの場合は常にFiとリンクしているが、全体像を把握するにはTeとTi、TeとFi、TeとFe同士のシステムを理解することが重要になる。これについてはそのうち取り上げる。今回は「Teは社会の犬」ということだけ覚えておけばいいだろう。
私はINFJだろうけど、INTJの要素も持っていることが分かった。
純粋なEIがないように純粋なFTもないと思っている。
外向思考に対しての鋭い文章でなかなか勉強になった。
理解していない人たちが客集めに使っているこじ付けにはうんざりしていた。
聞こえのいいことを言って、まるで星座や血液型の占いと同じだ。
日本人は頭で考えていない。だからこそ、現実を見るのが必要だ。
あなたに会えてよかった。私の洗脳は少しばかり解けたかもしれない。
私は無知な居心地のいい世界ならば、混沌とした知的な世界が望ましい。
金や権力は奪われる。でも知識や経験は奪われない。
私は死ぬまで私だ。誰も私を盗むことはできないのだ。