今回は義務と名誉を守る輝く騎士、ISFJの出陣である。私の父はISFJである。彼らは応答・制御・情報提供のバックグラウンドタイプであり、安定を求めるSJ気質として知られている。これらの属性から導き出されるISFJの全体像を概説していく。
ISFJは多数派でどこにでもいるので、敢えて彼らの生態を知りたいという人間もいないかもしれないが、私は父を見ていてISFJにはISFJの生きにくさがあることに気づいた。Tiチャイルドで職場のTeヒーローやTiヒーローに立ち向かわなければならないだけでも、相当なストレスであろう。ISFJはコントロールタイプなので、一日の計画を立てたがる。Teトリックスターは計画にストレスを感じるが、ISFJは一日に何が起こるべきか前もって決めておきたいと思う。一日が制御不能になるのは、彼らにとって望ましくない。
ISFJは安全や義務が第一である。Siヒーローは自分が何をしたいかではなく、自分が何をすべきかをよく理解している。彼らのFeペアレントは部屋の中にいる人々がどんな気分なのか、瞬時に感じ取る。そしてどう振る舞うのが自分の義務であるか判断するやいなや、忠実にそれに従おうとする。
問題は、彼らが信じている伝統や義務を、家族やコミュニティのメンバーにも押し付けることである。ISFJにとっては、家族がその伝統を好んでいるかどうかよりも、その伝統を守ることの方が遥かに重要である。Siヒーローは非常に忠誠心が強いが、その忠誠心を裏切った場合、彼らはその人間を切り捨てたり、自分の利益の為に利用することも厭わない。全てはSi-Feが生み出す正義感ゆえである。彼らはINFJ同様、Fiクリティックで自分の価値に対して批判的だが、INFJとは異なり、自分が果たした義務や貢献について覚えているので、どちらかと言えば有用性の観点からの批判と言える。
Tiチャイルドは、自分の思考に対して密かに自信を持っている。しかし、それは何らかの根拠に裏打ちされているわけではなく、文字通り「彼らがそう思う」というだけの話であることが多い。ISFJ自身も自分の知性を積極的にアピールすることは殆ど無いので、人々はISFJが何かを考えているとは思いもよらない。しかしISFJは愚かなわけではない。彼らが可能性を恐れることなく、Tiを研究や思考活動に向けることができれば、潜在意識ENTPとして新たな世界を創造できる。
問題はTeトリックスターである。ISFJは統計やデータを認識していない。彼らの思考は全てSiヒーローの経験に基づいており、その考えが正しいことを客観的に証明することができない。自分が経験したことの中からパターン認識を行い、そこから革新的な発明が生まれることもあるだろう。これはISFJ個人の経験から生み出されたものなので、真に唯一無二の発見である。しかし可能性そのものは、ISFJにとって恐怖の対象である。
ISFJの美徳と悪徳は、信仰と恐怖である。ISFJは信心深く、ほぼ無限と言えるほどの信仰を持っている。彼らはサンタクロースや先祖の霊を信じているので、律儀に伝統を守ろうとする。そして、ISFJは他人の意図を恐れている。他人が裏切るのではないか、自分を虐げる悪人ではないかという恐怖に駆られて、先回りして他人を悪者に仕立て上げ、頑固に自分の考えを守ろうとする。実際は他人にそんな意図はなく、ISFJが自分で自分を悪者に追い込んでいるだけである。
これを避けるためには、ISFJに自分の意図を説明しなければならない。これから何をするつもりで、自分がどうしたいか明確に説明しなければ、ISFJは劣等Neで来るべき災難を予感し、緊急時対応計画を練り始める。彼らの予感は否定的なものである。ISFJに解釈を任せると、劣等Neでありもしないパターンを先読みして、あなたとの戦いに備えようとする。しかし人々は劣等Neの予想通りには動かず、ISFJは混乱するのである。
もうひとつの心配事は、Seネメシスである。ISFJは現在の物理的環境を心配している。誰かの靴紐が解けていたり、部屋が散らかっていたりすると、ISFJはすぐさま指摘し、問題を解決しようとする。そうすることが自分の義務だと信じているからである。いつも靴紐が解けていると、それがパターンとして記憶され、ISFJはその人物への敬意を失う。これはISFJの親が子育てにおいて陥りやすい問題である。ISFJにパターンを記憶させてはならない。
Fiクリティックにより、ISFJは自分が幸福に値すると信じることができない。自分は罰を受けるに値するという思いが根底にあるせいで、本当に罰を受ける羽目になる。それにとどまらず、他人にも罰を与えようとする。彼らは非常に執念深い。これについてクレッチマーが興味深い話をしている。義務観念の強い人々は、道徳の強調が義務感や奉仕的精神と強く結びついている。このような義務観念は周囲の人々に対してサディズム的に働くこともあれば、自らに対してマゾヒズム的に働くこともある。まさにこれがISFJの内面で起こっていることであろう。彼らは義務による苦痛を喜んで耐え忍ぶこともあれば、その義務観念を他人を懲罰するために振りかざすこともある。自分がこれだけの義務を果たしてきたのに、こいつは恩を仇で返そうとしている。特にNTPたちは、そのような行動パターンを取りやすいタイプである。ここにNTPとSFJの衝突が発生する。
Teトリックスターはいかなる証拠も提出できないし、Seネメシスも裏切りの場面を目撃したわけではないのだが、Tiチャイルドと劣等Neがパターン認識を作り出すと、ISFJは超自我INTJによって復讐を遂げようとする。Niデーモンは裏切り者に復讐したい。この社会正義的な性質により、ISFJは孤独になりがちである。しかし彼らが成長するにしたがって、Siヒーローは自分が間違った思い込みをしていたことや、どう行動すべきかを学習する。自分が経験した社会的状況をTiチャイルドで分析し、人々を不快にさせたことを思い出す。INFJは学習しないので、ずっと孤独なままである。
ISFJが健康に問題を抱えた場合、彼らは医師の言うことを聞かず、代替医療に興味を持つことがある。そして潜在意識ENTPが診察室で医師と議論を始めるかもしれない。彼らは情報を必要としている。あなたがISFJと戦うことになった時、いかなる情報も彼らに与えてはならない。ISFJの強さは情報によって決まる。彼らは詳細情報をずっと覚えていて、それを利用するだろう。一般的な会話に終始していれば、Teトリックスターはあなたが何を考えているか分からない。しかし、情報を与えられると、それは全てISFJが裁判官を務める法廷で使用されることになる。この社会正義に燃える警察官は、自分が世話した見返りを提供しない罪人を罰することを躊躇しない。
ESFJも似たようなものであるが、彼らが世話をするのは後で恩を回収するための投資である。SFJたちは「私が世話をしたら、あなたも私の世話をする」という秘密契約を人々と結んでいる。したがって、ISFJと何らかの関係にある場合、早い段階で自分の意図や境界線を明確にしておくことである。そうしないと、彼らの脳内で勝手に契約が成立してしまう。ISFJは何としてもそれを守らせようとする。
ISFJは罰を受けるように作られており、苦しみが無いと人生に問題があるのではないかと錯覚を起こす。カール・ヒルティは「人生で最も耐えがたいことは、悪天候が続くことではなく、雲一つない晴天が続くことである」と言っているが、まさに悪天候を求めてDV男と付き合ってしまうISFJは多い。そしてSiヒーローは契約を遵守しない人々に恨みを抱き、復讐する。彼らは常に復讐しようとしている。「目には目を、歯には歯を」がISFJの信条である。それでは全世界が盲目になってしまう。
ISFJは輝く鎧を着た騎士であるが、復讐心に囚われると旗を下ろし、馬から降りて、人々を社会的に抹殺する暗殺者となる。潜在意識ENTPや超自我INTJは背後から敵を刺したり、待ち伏せしたり、どんな手段を使っても復讐を果たそうとする。INFJと同様、ISFJも非常に高い道徳基準を持っており、それを人に強制する。守れなければ、社会正義を行使する権利があると認識してしまう。だから彼らが間違いを犯した場合は、はっきりとそれをSiヒーローに記憶させなければならない。そしてTiチャイルドが考えを共有する機会を与え、自分がどんな意図で何をしようとしているのか説明する。そうすれば彼らは安心を感じるので、他人の意図を早合点することもない。
そしてSeネメシスが心配しなくてもいいように、可能な限り忠実であることである。彼らはあなたが考えていることなど全くわかっていない。彼らには考えではなく、気持ちを伝えるべきである。そしてNiデーモンに何が欲しいか尋ねてはならない。「何が欲しいの?」「これをやったら?」は禁句である。彼らには何をすべきか伝え、義務を執行するように要請すべきである。ISFJは、それが義務であるという理由で家業を継承する。彼らは義務に基づいた保護者である。ISFJを上手く活用できることを祈っている。
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