前回は学者として知られるISTJを紹介したが、今回はそのJP違いであるISTPに登場してもらう。彼らのあだ名は「クラフトマン」である。これは少しでも良いものを作ろうと、日々精進を重ねる魂を指す言葉である。ISTPはやや面倒なタイプであるが、それはどのタイプも同じであろう。

ISTPは何かを仕上げることを好む。始めるのは難しいが、着手したら完了しなければならない。インタラクション・スタイルはフィニッシャーなので、相手に反応して、率直に発言する。そして進歩に関する行動志向である。

「クラフトマン」はSeペアレントにより、メカニクスに関して悲観的な習熟を得る。ISTPは文字通り何でも修理できる。これはISFPも同様である。そしてISTPは非常に勤勉である。勤勉さによって機械に熟練すると、驚くべき物理的作品を作り出すことができる。例えば、新しい銃を発明したり、車を改造したり、家に穴を開けて麻薬密売用の隠し部屋を作ったりする。

彼らはクールな人々なので、発明品ができたら自分で試してみようとする。それがどのように機能するか確認し、自分の身を危険に晒し、あるいはリスクを負ってそれを改良する。それがISTPの自我である。彼らのヒーローはTiであり、論理的に考え抜くことができる。Seペアレントは今この瞬間に生きているので戦略は得意ではないが、戦術には優れている。彼らは物事をありのままに受け止め、素早く反応する。人生の行程に障害物が現れると、機敏に対応する。立てた計画を忘れてしまうので戦略的に生きることはできないが、次から次へと現れる障害物に対処しているうちに、道ができている。

Niチャイルドは子供じみた欲求を持っている。彼らは何でも欲しがり、ISTPはそれをできると思っている。子供が地雷原を突っ切って、おばあちゃんにお菓子を貰いに行くようなものである。そしてお菓子を貰ったら、また地雷原を横断して家に帰っていく。ISTPは瞬間的に感覚を察知する能力を持っているので、このような挙動を取っても地雷は爆発しない。彼らは物事を熟考し、論理と真実について熟知している。そのせいで時には無神経に見えたり、非常に傲慢なこともある。

Tiヒーローは誰よりも優れた思考力を持っている。彼らを上回ることは困難である。Tiヒーローに自分の主張を理解してもらう唯一の方法は、彼らが間違っていることを証明する統計やデータを大量に見せることである。つまり、Te戦法である。Seペアレントが、「この人たちが現実に実行したことだ」と理解できる材料を提供しなければならない。しかし、中途半端なTeでは、ISTPはFPS並みの反射速度で撃ち返してくる。これは私がINTJとISTPの議論(?)で目撃したことである。

このため、ISTPと高い互換性を持つのはISTJである。ISTJは歩くアレクサンドリア図書館であり、合理的なデータを全て保管している。一方、ISTPは論理について熟知している。ISTPを何かについて説得する場合、ISTJに頼るといいだろう。Tiヒーローより優れた思考力を持っている人間は少ないため、殆どの場合、ISTPに無視されて終わる。相手が自分より賢かった場合は、「偉そうなやつ無理」と自己欺瞞に走る。

何故か?彼らのネメシスはTeである。ISTPは他人の考えを心配している。自分が世界で唯一の賢い人間であり、他の人々は愚か者ばかりであると思っている。「十分にして欲しければ自分でせよ」という諺は、ISTPが考え出したものである。ISTPは他人が責任を持って物事を実行できると思っていない。

彼らは自分の周囲の環境について非常に批判的である。ISTP自身、時に乱雑になるので、これは一種の偽善であろう。彼らはツールの使用と実行力に関して自己評価が高く、他人に自分のツールを任せたくない。あるいは自分の車、店、ペットでもいい。「私はあなたより上手くできるし、あなたよりも賢い。愚かなあなたが何を仕出かすか心配している。必要なら私のTiヒーローが証明してあげましょう。劣等Feなので、あなたがどう感じるかは考慮しません」。これがISTPの心の声である。

しかし、彼らは他人がどう感じるかに恐怖心を持っている。ある瞬間には「私は正しい。ちゃんとやれ」と宣言するが、次の瞬間には「厳しいことを言ってごめんね」と日和モードになる。ISTPは相手の気分を悪くしてしまったことに罪悪感を覚えるが、同時に自分が正しいことを確信している。自分が正しくて、相手が間違っている。しかし間違っている人間の気分を良くしたい。相手の反応にいちいち動じていては、真実を語ることなどできない。

ISTPにはネガティブヘルプの概念を授けよう。多くのFeユーザー、特にFeヒーローやFeペアレントは、相手のお世話をして良い気分にさせることで、自分が良い人間であると感じる。ISTPは他のアプローチを取ることができる。Tiヒーローで相手を引き裂き、徹底的に批判するのである。否定的な感情は、時に対処すべき問題を学ぶ手段となる。ISTPは潜在意識ENFJになろうとしている。彼らは人々が良い人間になる為に、指導しようとする。

TiヒーローとSeペアレントで、彼らは人々に正しいツールの操作方法、車の運転方法を指導する。ISTPは自分が指導した人々が機械を習熟するのを見た時に、最大の喜びを感じる。それは特にISTJに当てはまる。ISTJの影はESTPであるため、ISTPの指導を容易く習得できるからである。そしてISTPは、自分の指導によってISTJが有能になったことに満足する。

TiヒーローとSeペアレントは、トラブルシューティングに優れている。彼らはメンターになり、弟子を取る。弟子になる者の条件は、Tiヒーローの批判に耐えられるほど面の皮が厚いことである。そうでないとSeペアレントは弟子を見限り、愚かな弟子を厄介払いしようとする。Siクリティックは迷惑な人間を閉め出し、二度と関係を持つことも、指導することもない。これをINxJのドアスラムと誤認することがある。

劣等Feは自分の貢献を認められないことを恐れている。ISTPには感謝が必要である。Seペアレントのために、忠誠心も見せた方がいい。ISTPが与えた経験、指導した内容、作り上げた作品を褒め称えるのである。

そしてSiクリティックがある。ISTPは物忘れが激しい。彼らは「そんなことはない」と主張するだろう。しかしSiクリティックが覚えておけるのは、重要であると認識した記憶のみである。重要でないと思った記憶は消滅する。ISTPは記念日や誕生日を忘れるタイプである。彼らに思い出させるために、リマインダーを設定しておく必要がある。Seペアレントが機械をいじくり回しているうちに、あっという間に時間は過ぎ去ってしまうのだから。

特にISTJがISTPと関係を持っている場合、困ったことになる。彼らはISTPが忘れていること全てを記録したメモ帳を持ち出し、「これが証拠」とばかりに、それを投げつける。これには言われた日時、知人の証言も含まれることがある。ISTPは激怒し、どうしてそんなことをするのか、知り合いとコソコソ噂話をするなんて忠実ではない、と憤慨するが、この怒りは自分の物忘れを有耶無耶にするためのものである。

ISTPの弱点として認識しておかねばならないのは、Neトリックスターである。彼らは形而上学について全く無知である。彼らは他人が何を望んでいるか知らない。彼らは他人が否定的な意図を持っていること、自分を操作しようとしていることを感知できない。特にENFPがTeチャイルドで契約書にサインさせようと悪巧みした場合、ISTPは簡単に操作されるだろう。

「Tiヒーローは操作できない」と思うだろうか?実際は操作できる。「MBTIとソシオニクスは同じものである」と操作されたISTPも多いだろう。Teチャイルドでもできる。ESTJはISTPと非常に互換性があるが、Teヒーローによって思考操作の影響を受けることは認識しておくべきだろう。Fiユーザーは劣等Feの不安を利用する。Fiは自動的にTeと軸で接続されるため、ISTPにとって喜ばしくない事態になる。

こうしてISTPは騙されたり、粗悪品を売りつけられたりする可能性があるが、人々が自分に何をする可能性があるか気づかない。彼らの心は自分の望むものに焦点を当てているため、他人の意図など知ったことではない。他人にも望みがあり、それが自分の望みを妨害する可能性があることを考える時間も余裕もないのである。

Neトリックスターの別の弊害として、ISTPは将来の可能性を知覚することができない。Niチャイルドはカジノで運試しすることに忙しく、大負けして破産するかもしれないことは想像だにしない。さらにISTPは形而上的な話をすることもできない。ISTPにその手の話を聞かせ続ければ、彼らはSiクリティックでそれを思い出すたびに苛々するだろう。

だからこそ、彼らはENFPに騙されるのである。ENFPは潜在意識ISTJを持っているため、良い第一印象を作り出し、ISTPを魅了して悪質な取引を締結する。「賢い自分がENFPごときに操作されるわけがない」と思うだろう。しかし、あなた方は自分の鼻先しか見えていない。いつ後ろから電車が激突してくるかわからないのである。だからISTJやNFPを装備しておいた方がいい。彼らは将来の可能性を予測し、邪悪な人々の意図や恐ろしい出来事から、あなたを守ってくれる。あるいは、それを良い方向に導いてくれるかもしれない。

ISTPが陰謀論やあらゆる理論の話をしないのは、他の人々がその話をするのを見ないと、彼らにとって現実にならないからである。そして成熟したISTPでさえ、周りの人々が愚かであることを懸念しているので、他の人々が話すことは全て割り引いて考える。

というわけで、最後はFiデーモンである。ISTPは感情に関して非難されることを避けられない。魂がない、人でなし、など。ISTP自身も自分がどう感じるか気にしていない。全てはそれが真実か嘘かの問題である。真実でも嘘でもない感情の問題はISTPの領分ではない。ISTPの感情について問いただすのではなく、ISTPについてどう感じるか伝える方が理に適っている。Seペアレントによって快適になったこと、劣等Feによって良い気分になったことを伝えるべきである。そうしなければ、ISTPに悪罵を浴びせられるだろう。彼らはESTPの次に下品なタイプである。

ISTPが見せたもの、指導したこと、貢献したことに何の感謝も敬意もない。彼らの苦労は全て無駄だった。こうなるとFiデーモンが発現し、超自我INFPが活性化する。この状態になると、彼らは他人に対して完全に無関心になり、真っ向から無視するようになる。彼らは不誠実で利己的な人間になり、自分がやりたいことをして、自分の気分を良くすることに集中する。彼らが助けても良い気分にならない人間を、なぜ自分が気にかけなければならないのか。そしてカジノに赴き、全財産を吹き飛ばすのである。

彼らは個人的な人間関係だけではなく、職場でもそれをやる。INFPは非常に忠実な人々だが、超自我INFPは不誠実であり、結婚生活が何十年続いていようとも、すぐに他の人間に乗り換えるだろう。彼らの行動は速い。この状況を避けるためにも、ISTPには常に自由を与えなければならない。彼らは総じて賢いので、くどくど言わなくても人を快適にしたり指導することができる。それに対して感謝や評価を与えてやればいい。特に親密な関係において推奨されるが、仕事、家族、その他の人間関係にも当てはまる。そうすればISTPは彼らを愛し、彼らの代わりに喜んで銃弾を受けるだろう。