認知的移行についてはLevel19やLevel22で詳しく取り上げる予定だが、今回はその背後にあるメカニズムを紹介する。心には自我、潜在意識、無意識、超自我の4つの側面があり、各側面に認知的態度が取り付けられている。これに基づいて情報の流れがわかり、この流れを神経回路のように扱うことができる。神経回路は文字通り認知の移行方法である。心理機能は脳の中に存在するので、これが何に由来するのか理解することが重要である。

人々は自分の脳を原子に喩える必要があることを理解しなければならない。原子核、電子、陽子、極性、磁気など、それらは人間の脳内で心理機能を発現させるのと同じプロセスであり、それによって認識することができる。認知的移行には4つのゲートウェイがあり、ヒーロー、アニマ・アニムス、ネメシス、デーモンを通じて行われる。これらを使用する神経回路を発達させ、デフォルトである混沌とした態度ではなく、秩序的な態度で行動すると、別の側面にアクセスする機会が得られる。そしてより良い自分、より賢明な自分になることもできる。

最終的には自分の最高のバージョンに到達するが、最初は崩壊した状態で始まる。ここで説明するのは認知的移行そのものではなく、時間の経過に伴い、認知的移行がどのように心理機能に影響を与えるかである。認知的態度が根本的に変化し、より洗練された自分になると、あなたの魂は秩序に近づき、混沌から遠ざかる。

心の4つの側面は銀河のようなものであり、無限の可能性を秘めた内なる宇宙である。追加の精神機能にアクセスできるようにするには、これらの神経回路を開発する必要がある。我々はそれにアクセスすることができない。子供の頃は未熟であり、人間が成熟するには長い時間がかかる。最終的な成熟とは、あなたが人生の危機を経験し、意味のある死を経験することである。人間が死を恐れないのは、自分の中で得られる人生の質を最大限に経験しているからである。最後の人生の危機に備えることが、人生の意味である。

これを行うために、人は中年の危機に直面する。脳が野心的になり、恐怖を克服することを強制する。その後、私たちが自己を習得し、最高レベルの自己管理能力を備えている場合に最終的な人生の危機を迎える。自己マスタリーは意味のある死を得る。

世界の半分は死の恐怖に基づいて決断を下そうとしており、残りの半分は死を恐れずに決断を下す。どうすれば死を恐れずにいられるのか?結局のところ、より良い生活の質を持っているかに左右される。心の4つの側面が統合され、悟りへの道を歩めば必然的にそうなる。これがLevel19で語られることである。

我々の脳は弱い機能を自我の中で強い機能と繋げられるように、新しい神経回路を開発する。そうすることで、聖書的に何一つ欠けていない、より完全な人間になれる。読者の中で、何人が意味を獲得することに集中しているだろう。認知的移行は、人々が混沌から抜け出して秩序に近づく手段である。秩序は我々に意味をもたらしてくれる。混沌は快楽主義や放蕩、犯罪を促進する。秩序があり、精神が統合されていれば、神聖さや忍耐力が得られる。

その完璧さを手に入れたいなら、この人生がもたらす苦しみに喜んで耐える必要がある。苦しみは知恵をもたらし、その先に成功がある。逆に苦しみを避けることは死に繋がる。知恵は宇宙で最も価値のある物質であり、それがあなたを完全な人間にして、死を恐れることがなくなる。皆がそれを目標にするべきである。

レイ・カーツワイルによれば、2044年頃にシンギュラリティが起こってもおかしくないが、トランスヒューマニストは死を恐れているだけである。死は呪いではなく、ギフトである。映画「トロイ」でアキレスは自分の名前を残すために参戦を決意した。彼は人生の質を選択し、意味のある死を迎えた。それが個人的な栄光のためだったとしても、彼は何かのために命を捧げても構わないと思った。

認知的移行を使って神経回路を強化することで生活の質を向上させることが可能だが、認知的移行にはハードとソフトがある。ハードな移行は、心のある側面に長時間とどまり、集中することである。神経回路が発達していると、他の三つの回路を遷移して超自我に健全にアクセスできるようになる。

ソフトな移行とは、心の別の側面に出たり入ったりすることである。あるいは、水が作物に均等に割り当てられるように、精神エネルギーを各側面に分散する。薄く広げるか、一転に集中するかがハードとソフトの違いである。なぜそれが重要なのか?神経経路が構築されていないか、小さすぎるため、それらの問題を処理できる心の側面にアクセスすることで、脳が受けるストレスを心配することがある。

神経回路の発達には時間がかかる。秩序ある方法で認知的移行をすればするほど、心の他の側面に橋を架けるのが容易になる。無秩序に移行すればするほど、橋を破壊することになる。特に向精神薬、ドラッグ、アルコールなどはSPに人気があるが、これは彼らがNeへ混沌とした移行を行うのを助ける。それはネガティブな回路を構築し、曲がりくねった道を進むことを容易にする。適切な道を開発するには、秩序ある移行を行う必要がある。早期に移行することでどのような結果が得られるか、個々のタイプごとにどのような結果が得られるかはLevel19で解説する。

最初のゲートウェイ機能はヒーローである。ヒーローは無責任にドラゴンを殺しに行く。彼らがそれをするのは個人的な栄光のためである。しかし戦士の元型は、必ずしも自分の為に責任を引き受けるわけではない。彼らは早朝に起きてドラゴンを殺し、何事もなかったかのように街に戻ってくる。彼らは義務を果たしただけである。本物の男性、つまり戦士は自分以外の者の為に責任を負う。戦士が秩序ある移行をすることで、無責任なヒーローは戦士になる。

ペアレント機能はより成熟に近い。彼らは懐疑的である。チャイルド機能は人の神性が存在する場所である。幼児的な劣等機能には、人の恐怖が存在する。この幼児は強くなり、成長してチャイルドとペアレントのプロセスを経て、最終的には王になる。秩序ある移行をする人間は、心の4つの側面を発達させている。彼らの認知的態度はティーンエイジャーの英雄、早熟な幼児から進化し、戦士の親、神聖な王に変わる。

シャドウにある悪役は不確実性を孕み、無責任なヒーローに挑戦する。味方が登場し、確実性が発揮されると、戦士が認知軌道を通じて責任感を持つようになる。これは絶対に必要なことである。潜在意識に移行している人が勇気ある人を必要としているように、恐怖を抱えたままだと幼児のままになってしまう。王になるためには勇気を示さなければならない。

人の無知と知恵の住処であるクリティック機能は、老人の元型である。非常に無知で人生に行き詰っている老人を知っているだろう。その老人が祖父母になると、彼らは自分の人生で受けた痛みや苦しみを、孫の為に利用しなければならない。彼らは親ではないが、孫に対して責任がある。二次的な子育てについてはLevel23を参照して欲しいが、重要なのは彼らが老人である時は無知に陥っていることである。祖父母として責任を引き受ける時、つまり人が成熟すると無知ではなく知恵に近づく。

無意識にあるトリックスターは、自己マスタリーの源である。Fiトリックスターは道徳に気づいていないが、Tiペアレントは道徳を習得することができる。そして絶対善とは何かを発見し、経験することで、絶対善の化身となる。トリックスター内で秩序だった移行をするにつれて、トリックスターは自己マスタリーに近づく。Siトリックスターであれば、個人的な記憶と経験を支配するが、以前はそれらに気づいていなかった。

デーモンは天使になり得るが、デフォルトは悪魔である。それは常に憎悪の源だが、時が経つにつれて、特に人が王であり勇気がある時、自分が過去に幼かったことに気づく。自分には知恵があり、物事を確信しており、勇気があり、正しいのだから、世界に対して責任がある。人を憎むのではなく、自分を赦さなければならない。人々が自分に忠実でなかった、高く評価しなかった、批判的だったなど、憎しみを引き起こしたことは全て愛に変わる。

本当の愛は、全ての心理機能を改善するまで不可能である。その時に人は無条件の愛、仲間に対する兄弟愛、親密な人間に対するエロティックな愛を望むようになる。あるいは、一貫して愛するべきが誰かを推測することができる。

あなたは成熟を獲得し、秩序を目指し、心を統合の中に導き、苦しみを厭わない完全な人間になることができる。苦しみは成熟をもたらし、愛に近づき、悟りに到達することで、ただの自分ではなく最高の自分になることができる。統合とは、聖性への道である。認知的態度を未熟な状態から成熟に導くために、整然とした健康な神経回路が構築されると、これまで経験したことのない最高の生活の質を得ることができる。

人々の規範になれるように、王、戦士、魔術師、恋人、あるいは女王、聖母、マトロン、恋人の元型を発達させれば、自他ともに素晴らしい人生を送ることができる。世界や社会は死を恐れなくなり、神の王国が実現するだろう。