成熟した男性の元型のラストを飾るのは、恋人の元型である。今日の男性には通過儀礼がなく、身体は男でも精神は男児や少年のままであることが多い。男性はまず恋人の元型を確立して、魔術師、戦士、王の順で発達させていく。男性は王を理解するまでは結婚するべきではなく、少なくとも戦士を理解している必要がある。

王には自分の城、自分の仕事、自分の移動手段がある。あなたは生産的で創造的だが、それでも何かが欠けている。王、戦士、魔術師、恋人の発達は、先進国の男性の間では逆向きに進行する。王からではなく、恋人から始まるのである。それを踏まえて、恋人とは友情や愛情だけではなく、人生の楽しみ全てを表す。女性は基本的に人生を楽しむが、男性は楽しみすぎるか、十分に楽しんでいないか、どちらかである。

恋人は自分の理想、つまり男性が引き受けて戦うべき大義を理解している。これは官能性、あるいは直感や感覚も駆使する。恋人は男性が完全な人生を経験するための元型である。これはヒンドゥー教のシヴァ神に表れている。男性と性的関係を持ち、オーガズムに達すると首を切り落とすのである。オーガズムの語源は「小さな死」と言う。男性は完全性や終わりを求めようとしている。人生の終末期に、完全な人生を送ったことを知りたいのである。女性の場合は全く異なり、彼女たちは人生を続けたい。男性は完了、女性は継続のエネルギーである。

恋人の元型をマスターすると、男性は完全な人生を送ることができる。あなたは言い訳することなく、恥や罪悪感を感じることもなく、ありのままの自分で人生を完遂した。恋人の元型は喜びや痛みを深く感じる。多くの場合、社会は痛みを避けることに焦点を当てている。しかし、本当に人の心に残るのは美しさではなく痛みである。人は痛みを通して知恵を得る。そして愛の力を完全に理解できるのである。

アダムとイブはエデンの園がどれほど素晴らしいか理解していなかった。喪失を経験するまで、それが何であるかわからなかったのである。愛が何であるか理解するには、知恵が必要である。痛みや苦しみがなければ知恵を持つことはできず、愛を理解することもできない。したがって、喜びや痛みと調和している男性は、恋人の元型にアクセスできる。痛みを理解すれば、何が欠けているかわかり、それを追い求めるからである。そうすることで、人生を解き放ち、人生が与えてくれる全てを楽しむことができる。

世界は多くの豊かさと不思議な経験に満ちている。あなたの人生は過酷で惨めなものかもしれないが、勇気を出して一歩を踏み出してはどうだろうか。恋人の元型が自分の痛みや喜びを感じる時、それは生の感覚に等しい。生きていると感じるために、人は自分を傷つけることがある。あなたの痛みは、何物にも代えられない、あなた自身である。その痛みは知恵を与えてくれるだろう。痛みがなければ、私がこれを書いていることもなかったはずである。

痛みは特に恋人の元型にとって重要であり、必ずしも手放すべきではない。痛みを避けると、知恵は手に入らない。知恵がないと、愛を理解できずに、恋人の元型の力を行使できない。誰もが人生を異なる方法で見ている。Fiユーザーは良いか悪いか、Tiユーザーは真実か偽りかで見ているが、人生は何が賢明でそうではないかである。しかし我々は自分自身や目の前の問題に集中していて、それが理解できない。

恋人の元型にアクセスしている男性は、人生のあらゆる側面を体験し、生きていると感じることができる。彼には活力があり、共感力がある。Fiなら同情、Feなら共感である。Fiは恥を、Feは罪悪感を表すものでもある。恋人の元型と調和している男性は、これらを通して世界を知覚し、社会的に有能になる。特に劣等FeのITPや劣等SeのINJは大きな問題を抱えているが、恋人の元型は意味と目的のある人生を送ることが全てである。人生を自由に生きることが最も重要なことになる。 

世界にはルールと規制に縛られている宗教が山ほどある。「XをすればYが得られる」という教えは当てにならない。個人の成長と統合は獲得するものではなく、我々は喜びや痛みを経験するために、ここにいるのである。知恵がなければ愛することはできない。これは陰陽の均衡のようなもので、愛は柔軟な陰、知恵は陽である。二次的には、その逆である。

恋人の元型にアクセスしている男性は、ルールに縛られない。スティーブ・ジョブズが言ったように、他人の人生を生きたりして無為に過ごしてはならない。自分の考えと心に従うことこそ、恋人の元型である。自分の心に従い、喜びや痛みと調和すると、創造性が生じる。男性は痛みを和らげたり、自分に喜びを与えるために、何かを創造して、愛をもって共有する。しかし、新たなものを創造するには知恵が必要である。痛みの源になるのが知恵である。

ドグマに囚われたり、仕事中毒になってはならない。父親の不在を防ぐには、男性が成熟しなくてはならない。その男性に育てられた息子は、王、戦士、魔術師、恋人を発達させて、自分や他人の本質を理解するだろう。そうすれば全ての痛みは和らぎ、大きな喜びがもたらされる。あなたが誰かを愛するには、自分の痛みや喜びを理解しなければならない。何があなたを傷つけるだろうか?痛みや喜びの結果として、創造性が生じるのである。デイビッド・デイダは著書で恋人の元型がどのように機能するか語っているが、それは男性の喜びや痛みを理解した結果である。

まず自尊心を持つ必要がある。自分のニーズを満たし、個人的な基準を確立し、自分の境界線を設定して、目標を知る。この自己親密性の4つの柱の上に、自尊心がある。男性なら、パートナーがいつまでも美しくあって欲しいという基準を持っているだろう。

恋人の元型にも二つの影がある。依存症と不能である。依存症の恋人は永遠に落ち着かない。あらゆることに過剰な期待を抱き、その場しのぎの快楽で欲望を満たして、自分が何を求めているのかわからない。これはESTPと共通点がある。彼らは官能的な恋人になるが、何にも集中しない。そして人生で痛みに苦しむと、彼らはそれを創造性に生かすのではなく、鬱病になって薬物に依存する。依存症から抜け出すことで、強迫観念的に経験の収集に没頭することがなくなるだろう。

そして不能の恋人もいる。彼らの心は死んでおり、人生に対する情熱がなく、陽のエネルギーを求めている。依存症の恋人は陰が欠乏しており、不能の恋人は陽が足りない。完全にアンバランスである。不能の恋人は、パートナーに対して良いパフォーマンスができない。したがって、その痛みを創造活動に向ける必要がある。恋人の元型は異性だけではなく、全ての経験を包含する。動物であることがどんな感じか、想像してみるといい。これは精神的な経験も含む。神との関係は恋人と非常に調和している。

恋人の元型は意味を与えることである。しかし、コルテスが新世界に上陸してから部下に船を燃やさせたように、時には退路を断つ必要がある。トニー・ロビンズは「人が成功するのは、『死か成功か』に直面した時だ」と言っている。人生を楽しむためには、船を燃やす覚悟が要る。超自我を活性化して、人生を燃やし尽くし、新たに再構築するべきである。ただし、そうすると後戻りできない。だが本当に不幸なら、その選択肢がある。幸せの為に行動するという選択肢である。錬金術のように、その痛みを創造性に変換し、他の人を幸福にすることができる。

宗教界では、これを自分の惨めさを奉仕に変えることとしている。辛い経験をバネにして他人を助けること、それが恋人の元型である。芸術は真実であり、現実の酷さを証明する手段でもある。そして喜びを与えてくれる。私は発信活動に多大な時間と労力を費やしているが、これが完全に生きているということかもしれない。その過程では喜びよりも痛みの方が強い。ブログを更新するだけならそれほど苦しいことはないのだが、私が知る全てを共有しようと思うと、全力を尽くさなければならないためである。私は恋人の元型を作り上げる過程を経験しており、痛みや苦しみを創造物にして、それをあなた方と共有しているのである。

私の人生における痛みのひとつは、誰も私を理解しなかったことである。より正確に言えば、理解しない結果として彼らの望む姿に私を直そうとすることである。あなたも同じ経験をしているだろう。もし人々がユング心理学を用いて相手に理解されれば、彼らも相手を理解しようとするはずである。INFJも相手の人間性を非難する前に、それがタイプの違いだと思い至るかもしれない。あるいはSJが発達障害や自閉症だと思っている相手が、単に違うタイプであることに気づくかもしれない。

70%の多数派は具体的でない人々を異常だと思う。私が自分自身を理解する方法、他人を知る方法を多くの人々に教えれば、彼らは自分が扱われたいように他人を扱えるかもしれない。ISFJがESFPをESFPとして扱えば、ESFPは良い気分になってISFJに良い経験を与えたいと思うだろう。人生の痛みを受け入れ、創造性に転換し、知恵を得れば、愛を理解できる。愛は宇宙で最も強力なものであり、それに到達するには知恵が必要である。だから魔術師や賢女の元型は、恋人より先に発達する。

だから恋人の元型の重要性を理解して欲しい。あなたは今、人生を楽しんでおらず、不幸かもしれない。その痛みを受け止めて、そこから何かを生み出さなければならない。何があなたを最も苦しめるのか考えて、それに取り組まなければならない。それには自己親密性の4つの柱をマスターして、ゲイリー・ヴェイナチェックやエリック・リースの本を読むことが役に立つだろう。弱くて、無能で、性欲が全くない。これは問題である。自分の性欲を取り戻し、何かを創造し、それを他者と共有する。自分の存在理由を理解し、自尊心を持って、社会規範に縛られない。

隣人を愛するためには、まず自分自身を愛さなければならない。つまり、責任を持って利己的になることである。自分の最も深い才能を理解すれば、喜びか痛みのどちらかがそれに意味を与えてくれるだろう。このブログは痛みに重点を置いているが、それは多くの人々が痛みを感じており、実際に喜びを感じている人は殆どいないからである。しかし喜びに満ちた世界を望むなら、その痛みを創造性に変えて、他者と共有するべきである。失敗と苦しみは知恵をもたらし、最終的に愛に繋がる。

これが恋人の元型の真の重要性である。男性が恋人の元型を完成させると、成熟した男性性に到達する。その後は他の男性を引き上げ、世界のリーダーとなり、個人の主権を取り戻し、自分自身に敬意を示す。経済、恋愛、人間関係、教育、政治における決断は、個人の主権をもって下してもらいたい。成熟した男性、あるいは成熟した女性でなければ、個人の主権を持つことはできない。

個人の主権は、自分のニーズを満たすことを妨害されないために重要である。そして最終的に自分が望むもの、夢見ているものを手に入れることができる。私がこうして毎日タダ働きしているのも、それを手に入れるためである。私がそれを実現する過程で、あなたの夢も叶えることができるだろう。そうであってもらいたい。