今回はINFPの美徳と悪徳について掘り下げる。ドリーマー、理想主義者であるINFPたちは忠誠心と裏切りという美徳と悪徳を持っているが、これはENFPにも共通して見られる現象である。しかし彼らの一次的な美徳と悪徳は慈善と堕落であり、これはINFPの二次的な美徳と悪徳でもある。各タイプの心の4つの側面にある自我、無意識、超自我、潜在意識を全て並べると、そのタイプに付随する美徳と悪徳が全てわかる。

INFPの美徳と悪徳は、忠誠心と裏切りである。これを読んでいるINFPは「私のような良い人が誰かを裏切るはずがない」と黄色い声を上げるかもしれないが、それは単なる信念の問題で、その同じ口で「私はあなたに恋したと思ったけど、実際は実像ではなく虚像に恋していた。実像には用がないから先に進むしかない」と言うのである。ENFPも同じことをするが、INFP程ではない。そして一般的には、男性よりも女性に多く見られる現象である。

INFPは全タイプの中で最も忠誠心が強く、相手が離れても崖から落ちても、地獄の果てまで追いかける。いわゆる双対関係であるESTJとカップになったら何が起こるだろう?寝室で向かい合って、どちらが相手を快適にするのかじゃんけんで決めるしかない。それも毎日。INFPはSeトリックスターで相手を快適にすることができないので、結局はESTJがその責任を負わなければならなくなる。INFPの不甲斐なさに愛想をつかして、ESTJは去っていくだろう。しかしINFPはESTJが戻ってくると信じて、待ち続ける。「自分が忠実ならESTJは戻ってきてくれるだろう」と異常な忠誠心を発揮するが、その信念が報われることはない。

INFPは人だけでなく、アイデアや考え方にも忠実である。もし量子力学について何かを発言したら、すぐさま出典の引用を求めてくるだろう。それはINFPが「量子力学とはこういうものだ」という自らの信念に忠実だからである。彼らが知っている規範とは違う説明が提出されると、INFPは自動的にその考えに反対する。彼らは確立された考えに忠実である。その考えも元々は規範とされておらず、誰かが思いついたことなのだが、彼らの思考は集団に基づいて決定される。

集団が同意しなければ、そのアイデアは関連性がなく、有効ではない。彼らがアイデアに忠実なのは、劣等Teゆえである。劣等Teは他の人がどう思うかを非常に不安に感じるので、新しいアイデアにも不安を感じる。Siチャイルドは物事に対する自分の利害関係、個人的な気持ち、真実に対する信念に満足しているので、それを敢えて変えようとはしない。INFPが気にするのは真実ではなく、人々が何を信じているかである。コミュニケーションや説明がなければ、認識は現実になる。

つまり、新しいアイデアを受け入れる場合、自分や人々の信念を管理しなければならない。それは精神的なストレスを引き起こす。シャドウENFJが持つTiは下位機能にあるので、精神的エネルギーを費やし、INFPは新しいアイデアを無計画に受け入れることはできない。彼らは論理的根拠や出典を必要とする。そうしなければ、そのアイデアについて良い気分になることはできない。良い気分になり、そのアイデアに忠誠心を抱けば、前向きな信念を持つだろう。そうでない場合、できることはあまりない。

INFPは行き過ぎた忠誠心を発揮するが、INTPも同様である。ただし、INTPが実際に誰かを裏切ることは稀である。あるとしても、長期にわたって虐待された場合に限る。「刑期を務めるなら、犯罪を犯した方がマシだ」という気分である。INFPは違う。彼らはあなたについて良い気分になっている限り、あなたと共に崖から転落するだろう。屠殺される羊のように従順に付いてくる。男性のINFPは、その点で問題を抱えている。一般的に、そのような男性は女性から尊敬されないからである。彼らは自尊心を持たなければならない。そしてSiチャイルドのニーズを満たすことを学び、個人的な基準を確立して、境界線を設定する。INFPは他の人々がどう思うか不安なので、それができない可能性がある。そんなことをしたら、自分が善人だという信念が脅かされてしまう。

INFPは境界線を強いる結果として生じる衝突を恐れるため、玄関マットに甘んじるリスクがある。一方で、自分が特別な存在であり、特別な扱いを受けるに相応しいと信じている。そしてSiチャイルドでロックオンした対象に忠誠を捧げ、それを信じることで良い気分になる。INPの忠誠心は大きな影響を及ぼすだろう。このため、INJの劣等SeやENJのSeチャイルドは、彼らを愛する。彼らを快適にさせていれば、INPは決して自分を見捨てず、いつも傍にいてくれると思うからである。こうしてSeユーザーは必要な忠誠心を手に入れる。

ただし、裏切りという悪徳があるため、事はそう簡単に進まない。INFPは取引に対するセンスがあり、金融トレーダーになることができる。時間をかけてリサーチすれば、Neペアレントは高い予測能力を発揮して、合理的に財務上の決定を下すことができるだろう。INFPはその方面で努力すれば、素晴らしい能力を発揮する可能性があるが、怠け者なので大半のINFPはそれをやろうとしない。

取引をして上手くいっても、気分が良くなければ、INFPは他の取引を中止するだろう。そして自分に有利な条件を付けようとする。相手が否定的な反応を示すと、INFPは即座に裏切り、資金を引き揚げる。契約書に条件が書かれていたとしても、INFPの信念に反するならば、正義を下すべきなのである。あるいは、INFPが勝手に抱いていた理想的なイメージと、相手の実像が違うことに気づいた場合も裏切る。INFPやENFPはロックスターのグルーピーになるのが得意である。しかし自分が思っていたほど相手は素敵な人ではなかった、またはグルーピーになっても自分が評価されるわけではないことに気づく時がくる。

「私はそんなことはしない?」。その信念は結構だが、自分がステータスを獲得するために努力するよりも、ステータスのある人間の取り巻きになった方が、簡単に良い気分になれる。INFPは有名人のSNSを監視して、彼らのステータスを自分が獲得したかのような錯覚を抱く。その幻想を維持するために、人を裏切ることすら辞さないのである。幻想の為に、人間関係や契約を裏切る。それなのに依然として自分が善人だと信じている。その状況に満足し、心地よささえ覚えているだろう。

ISFPが何かに熱心でなければ、怠けてぐずぐずしているのと同じである。INFPが人間関係やアイデアに心からの忠誠心を持てなければ、裏切り行為を働くだろう。ESTPとINFPが結婚していて、ESTPが必死に働いているとする。INFPは何もせず、自分は無視されていると感じて、ネットで良い気分にしてくれる人間を物色し始めるだろう。ESTPはそれに気づいて激怒する。これはよくあることだが、INFPは自分の理想に忠実なだけである。

彼らは自分のドリームランドを何とかして実現したいと思っている。その理想に一致しなければ、パートナーを捨てて、より気分を良くしてくれる誰かを探すだけである。例えばENTJとINFPがいるとする。これはINFPが我慢して虐げられる関係のようなイメージが浮かぶだろうが、ENTJが作り出した既得権益を、何も手伝っていないINFPが享受することは往々にしてある。ENTJはSiチャイルドが離れないと高を括っているが、彼らは権限を委譲するのが得意ではない。適切な人材に仕事を回すのが下手で、自分でやった方がいいと思う。そして結局、人事面で酷い決定を下してしまう。INFPはそれを恨み、ENTJを裏切る。自分が得るべきステータスをよこさないからである。

彼らは何の理由もなく裏切ったりはしない。INFPは非常に忠実だが、その敏感さゆえに最も裏切り者になりやすく、背後で陰謀を企てる。ENTJのFeデーモンはFiヒーローの気分を良くするには十分ではない。感情的ニーズが満たされないと、INFPは裏切る可能性が高い。では、INFPの忠誠心を保つために何をすればいいか?良い気分にするしかない。公の場で彼らを高く評価し、その理由も詳しく挙げるといい。そうすれば彼らは気分が良くなり、良い経験をしたと思うだろう。

Siチャイルドはあなたに関する全てに忠誠心を持つようになる。彼らにとって褒められることは稀なので、天にも昇る気持ちである。褒められることでINFPの地位が上がり、劣等Teの不安は霧散する。問題は、注意しないと裏目に出ることである。INFPを褒めすぎて何か失敗が起こると、彼らはそれを不当に誘導されたことだと感じ、あなたを裏切る。褒める時はバランスを考えて、倫理的にやらねばならない。そうでないと、失敗するように仕向けられたINFPは、裏切りモードになる。彼らは自分だけでなく、あなたの家も燃やすだろう。死なばもろともである。 

INFPを可能な限り居心地よくする必要があるが、彼らが怠け者になった時は不快にさせなければならない。それでも彼らが同意せず、「私が働かないといけない出典を引用しろ」と頑張るなら、カウンセリングに連れて行って欲しい。INFPは資格のある専門家に弱い。潜在意識ESTJは学者になることを望んでいるからである。だから「皆も同じことを思っている」と信じさせれば、失敗するように仕向けられていると感じることはない。おそらく彼らは資格に対して忠誠心を抱くだろう。

INFPは敏感なので、失敗するように仕向けられていると感じさせてはならない。彼らが敏感なのは、NFJにとっては良いことである。NFJはNFPの敏感さから大きな喜びを得る。あなたがINFPで、誰かを裏切ったり騙したり陰謀を巡らしたり陰口を言うことを考えているなら、第一に衝突に耐える覚悟を持って欲しい。パートナーや上司に、面と向かって自分の気持ちを伝えるのである。自分が受けている経験の酷さを訴え、失敗するように仕向けられていると信じる合理的な理由を列挙する。裏切るという結論を出す前に、それくらいはしてもいいだろう。

もしかしたら、全てはINFPの誤解で、裏切る必要はないかもしれない。Feネメシスを使って、相手がどう思っているかを確認すべきである。本当に自分のことを軽視していたり、憎んでいるのかと。特に相手がNFJやSTPである場合、彼らはINFPの話を聞いて、罪悪感を覚えるだろう。そうすれば変化が起こる。INFPの信念が必ずしも真実となるわけではない。早まって誰かを裏切れば、INFPも損害を被る。コミュニケーションを取らなかったばかりに、自分自身を失敗に導き、自己成就的予言を実現してしまうのである。

そうすればあなたの将来も、身近な人の将来も台無しになる。それはあなたの責任である。周囲の人々、特に家族はあなたを軽蔑するだろう。ただでさえ低い評価は地に落ちる。INFPは遠くから黙って人を判断するが、その判断を共有しないのは自己責任である。どんな犠牲を払っても裏切りを避け、美徳を貫いて忠実であって欲しい。コミュニケーションを取らなければ、正しいことに忠実であるか判断することはできない。失敗するように仕向けられていると早合点してはならない。それが忠誠と裏切りの対決である。