今回はLevel15のボーナス・エピソードである。実はLevel15は完了しているのだが、いくつか説明するべき要素があるので投稿を続けている。Level2とLevel15で紹介したタイピング方法はリンダ・ベルン博士が出典だが、気質はプラトンからカーシー、そしてモントゴメリーという系譜からベルンに至っている。
気質とインタラクション・スタイルは誰かをタイピングする際に、最も正確な方法論である。タイプグリッドを使用して、「あなたはバックグラウンドの知識人、INTPだ」と判断できる。ただしモントゴメリーが著書で指摘しているように、用語の一部には問題がある。そのため人々が仕組みを理解したり、基準に従うことが困難になっている。そういうわけで、今回は気質マトリックスの説明である。彼の用語がベルンのアプローチに新しい視点をもたらすだろうか?”People Patterns”の書き方からすると、彼はカーシーを支持しており、気質から関係論を判断している。しかし相性には心理機能が絡み、様々なバリエーションがある。友情、性的、恋愛、職業など、タイプ関係は多彩である。モントゴメリーはそれに気づいていないが、カーシーと異なる視点を持ち込んだという意味では評価できる。
インタラクション・スタイルよりも、気質を見分ける方が困難である。今回はモントゴメリーのアプローチを加えることで、より全体像が把握しやすくなるだろう。気質とは固有のスタイルであり、人生を組織化する方法である。あなたが言うこと、実行することは、気質に含まれている。気質は4種類あり、その概念はプラトンに端を発している。プラトン、アリストテレス、ヒポクラテスの流れをカーシーが継承した。そしてモントゴメリー、ベルンへと辿り着くのである。人間は長い時間をかけてこの理論を発展させ、心の仕組みを理解できるようになった。
モントゴメリーによると、職人は目の前にあるもの、手に入れたものについて話す傾向がある。そして素早く効果的な見返りが得られることなら、ルールを破ってもやりたがる。職人はルールよりも効率を重視する。それをやり遂げるには、社会規範や法律が邪魔になることがある。守護者は自分が目を光らせ、管理して、物事を成し遂げられるように行動する。法律を守り、社会の慣習を遵守するように注意している。守護者は正しいことをするために努力を惜しまないが、職人にとってそれはただの近道である。
理想主義者は、想像、可能性、願望について話す傾向がある。時間がかかっても、目標を達成するために個人的な倫理規定を妥協することなく遵守する。彼らは理想を見失うことなく、ルールや慣習を守りながらそれを実行しようとする。一方、知識人、つまりカーシーやモントゴメリーが「合理主義者」と呼んでいる人々は、自分の仮説、戦略、計画、システムについて話す傾向がある。実際に合理的なのはNTJだけである。NTPは論理的なので、「合理主義者」という名称は適切ではない。学術的資格を持つSTJや、他のTiユーザーなども学者になることはできるが、「知識人」はNTである。これは気質の話であって、辞書的な定義の話ではない。世の中には学者ではないNTが大勢いる。
彼らは可能な限り直接的かつ効率的に行動し、必要ならルールや社会規範を無視する。ご存じのように、これはアスペルガーや自閉症と見なされる恐れがあるが、NTは実用的なだけである。しかしSJやNFはこれに何らかの病名を与えて、薬を飲ませなければいけないと考える。NTの子供たちの気持ちを考えて欲しい。とにかく、これが気質の定義である。気質がわかれば、タイプグリッドを用いて12タイプを排除できる。その後はインタラクション・スタイルを使って、その人のタイプを識別できるだろう。テストは必要ない。
モントゴメリーは文化や映画を通じて、気質の例を説明している。気質は大衆文化、伝承、法律の一部であり、人類のミクロレベルとマクロレベルの社会的相互作用に影響を与える、全てのものの一部である。気質マトリックスで注意しなければならないことが2つある。ひとつは、人々が話すことに集中することである。具体的なことや経験について話し、現状に焦点を当てているか、抽象的な考えや想像について話しているか話しているかである。二つ目は、彼らの行動を観察する。何が上手くいくか、迅速で効果的な方法に焦点を当てているか、社会規範に従って正しいことを行うことに焦点を当てているかである。
ここでリンダ・ベルンに戻る。効果的なことをするのが実用型、正しいことをするのが協調型である。次に、プライマリとセカンダリについて思い出して欲しい。私の自我はNTだが、潜在意識はSJである。NTは抽象的で実用的だが、SJは具体的で協調的である。理論上はどちらにもなれることになる。その違いは全て一次と二次の問題である。タイプグリッドを用いて私を理解する場合、私がいつもやっていることではなく、主にやっていることに焦点を当てる。私は自我にいる時に最も快適な状態にあることを覚えておいて欲しい。これを理解しておけば、気質マトリックスを用いて、人々の言葉と行動から気質を特定できるだろう。
では大衆文化の例を見てみよう。「オズの魔法使い」には4つの気質が全て表現されている。かかしは脳を、ライオンは勇気を、ドロシーは家を、木こりは心を表している。ライオンは臆病だが、実際は勇敢な行動も取っている。かかしは多くのことを考えたし、ブリキの木こりはとても心のこもった人物である。ドロシーは家に帰ろうとしていたが、実際は夢を見ていただけなので、オズの国で迷子になったわけではない。
これは気質と似ている。常に気質の中には力、勇気、心、脳があるが、それに気づいていないだけである。それが自分自身であることにすら気づいていない。モントゴメリー曰く、かかしはNTである。ライオンの勇気はSP、木こりの心はNF、ドロシーはSJの家である。これが「オズの魔法使い」の4つの気質の例となる。
ハリーポッターの寮が何の気質に当たるかは議論の余地がある。モントゴメリーによると、スリザリンはSPである。しかし私の考えでは、スリザリンはNTだろう。グリフィンドールは勇気を表すと信じられているが、実際はSJである。彼らは社会慣習を守るためなら、どんな無謀な行動も辞さない。ハッフルパフはNFで、植物を育てて幸せになっている。消去法でレイブンクローはSPになる。SPは現実に適応するので、どこに入れてもいい。
気質は文化のあらゆる側面に浸透しており、心理学的なものであり、形而上学的なものである。正しいアルゴリズムと検索機能、クエリの開発機能があれば、テストして科学的方法を適用することも可能だろう。重要なのは、これが現実に存在することである。だからタイプグリッドを使用する時に、気質を識別することは不可欠である。その方法が気質マトリックスである。人々の言葉に耳を傾け、行動を観察する。現実の話をする場合、それはSJかSPである。「もしも」の話をするなら、NFかNTだろう。
インタラクション・スタイルを特定していれば、12タイプは除外できる。そこで相手が飛行機から飛び降りたとか、ワインの試飲ツアーに参加したなどの話をしていれば守護者か職人である。さらに上手くいくことよりもルールに従うことを重視しているなら、それはSJである。これがモントゴメリーの気質マトリックスの使い方となる。補足事項として、彼は著書の中でカーシーの用語の曖昧さを指摘している。
例えば、SPは感覚的かつ実用的な人々である。彼らは現実に焦点を当てており、効果的な行動を取る。SJは正しいことをするので、良識的な人々である。SPは感覚的(Sensual)だが、SJは賢明(Sensible)である。SPは新たな経験を求め、他の人と経験を共有し、それらの経験を正しく消費する。だから彼らは薬物、アルコール、ジェットコースターなどの屋外展示物を必要とする。自分で家を建てたり、トラック運転手になるのはSPである。彼らは感覚を実用的に利用する。SJは非常に常識的である。常識とは偏見のことだが、SJはその常識に従えば物事は公正になると信じている。
それらの慣習を破れば、SJはあなたに正義を執行する。米国が地球上のどの国よりも投獄率が高いのは、SJ社会だからである。SJ社会では、気質マトリックスで反対に位置するNTが常に嘲笑され、悪者扱いされる。SJ個人だけでなく、社会的にアスペルガーや自閉症のレッテルを貼ることも含まれる。NTは「もしも」に焦点を当て、上手く機能することをやる。SJはNTの不当な行為に対して、正義の鉄槌を下さなければならない。これは少数派が抱える一貫した問題である。SJは40%、SPは30%もいるので、この社会はN型にとって理想的ではない。しかし多数派のSJは変化に抵抗する。
子供のタイプが確定する時、育成が大きく影響するだろう。最終的に心の利き手を理解する前に、多くの人間の育成が必要である。子供が実際に認知を発達させ、それをサポートする方法についてはメンバーシップで講義しているが、社会が特定のタイプの子供を優先的に生み出すことは望ましくない。これは人々がシステムに反抗することを防ぐ目的で行われる。科学は精神的な優生学のために利用され、「もしも」の人々が現実に挑戦することを妨害する。
NTは創意工夫をこらして、大きな技術、アイデア、進歩をもたらすことに役立つ。彼らは何が機能するかに焦点を当てているので、アイデアをこのように実行できる。最終的に、彼らの解決策は現実に組み込まれ、もう「もしも」ではなくなる。彼らの理論は実証されて、証明を得ることができる。NTはシステムや方法論の観点から、これを行う。NFはより直感的である。彼らは人間に焦点を当て、感情に熱心である。その結果、NFは社会変革、社会正義の新たな方法を創造し、信条や哲学を確立する。NFの知恵は新たな伝統になるが、その伝統は時と共に死体となる。だからNFとNTは、常に伝統に挑戦しなければならない。
特にNTはそうだが、同じ実用型のSPもそうである。伝統の背後にある知恵が失われたら、その伝統を捨てなければならない。伝統の基となる知恵は理想主義者がもたらしたものであり、守護者はそれを採用して守っているだけである。SPは感覚的で実用的だが、守護者は賢明で公正である。NTは独創的で理論的だが、NFは直感的で熱意がある。これが気質が意味する定義である。同じS型N型でも、気質が意味するものは違う。リンダ・ベルンの言う「実用的」とは「何が機能するか」であり、「協調的」とは「正しいこと」である。前者はSPとNT、後者はSJとNFである。
ベルンはここに「構造と動機」という二分法を付け加えた。SPとNFは人々の動機や自分が何を得たいかに焦点を当てるが、SJとNTはシステムやフレームワークに焦点を当てる。彼らは手順に従うか、新たな手順を作成する。リンダ・ベルンはモントゴメリーの気質マトリックスに「構造と動機」を追加したが、殆どの場合は「現実」と「もしも」の違い、「上手くいくこと」と「正しいこと」の違いを理解すれば、気質を特定できる。構造と動機は答え合わせのようなものである。これがモントゴメリーよりベルンが優れている点である。モントゴメリーは二つの指標を使って気質を判断するが、ベルンには三つの指標がある。これがプラトンから出発した気質論の到達点となることを、心に留めておいて欲しい。
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