今回はトリックスター機能の認知的態度の話である。ジョン・ビーブ博士が認知的態度を考案し、マーク・ハンジガーが”Depth Typology”という本を執筆した。洋書だが、この二冊は影の機能に興味がある人は読んでおくといいだろう。
続きを読む: トリックスター機能の認知的態度は何か?何故この機能はトリックスターと呼ばれるのか?例えば、ESTJやESFJは何かを望んでいるような気持ちになることがある。彼らはデフォルトで間違ったものを望んで、周りの人々や人生を破壊することになる。最も下位にあるのはデーモンだが、人はこの機能に気づいていないことを認識している。トリックスターは楽観的なので、この機能を意識しようとしている。しかし実際は、努力していない。
トリックスター機能はブラックホールのようなものであり、関連するものを全て吸い込んでしまう、弱点の一つでもある。ヒーローは最大の強みだが、トリックスターは弱みである。デーモンは必ずしも弱さとして表れるわけではない。それは優先事項ではなく、気にしてもいない。一方、トリックスターはそれを試してみようと思う程度には優先順位が高い。
それは火遊びのようなもので、弱さを示した結果、悪い行動に繋がる。こうしてトリックスター機能は発揮される。ISTJとINTJのFeトリックスターは、倫理の意識が全くない。ESFPとENFPはTiトリックスターを持ち、ESTPとENTPはFiトリックスターゆえに道徳がない。ISFJとINFJのTeトリックスターは論理的根拠または信念である。ISTPとISFPのNeトリックスターは形而上学的概念である。ENTJとENFJのSiトリックスターは長期記憶、義務、忠誠心を司り、ESTJとESFJのNiトリックスターは情熱や欲望に気づいていない。INTPとINFPのSeトリックスターは物理的環境を認識していない。
それらはタイプ内でどのように表れるのか?ISTJとINTJのFeトリックスターは、社会規範や社会意識を手に入れることができない。彼らは自分の価値観を誰もが共有しているわけではないことを理解できない。自分が大切にしているものを他人も大切にするべきだと思っている。そうでない人間は「合理的ではない」ことになる。Fiチャイルドは自分が何を信じており、何が良いことで何が悪いことか良く知っている。
しかしFeトリックスターの観点から見ると、社会規範は主観的すぎる。未熟なITJは誰の家でも突然訪問し、自由に振舞い、用が済んだら勝手に出ていく。Feトリックスターからすると、それは普通のことである。彼らから見ると人々はくだらないことに現を抜かしているので、自分の振る舞いが特に非常識だという自覚がない。トリックスターは無自覚なので、ある意味で子供のように振舞う機能である。
ITJの観点からすると、それは主観的なものであり、根拠のないものに見える。Teペアレントはある場合に特定の社会規範を適用するが、実際は文化や状況によって変化する。これは日本人の物事への取り組み方に似ている。彼らは性的逸脱から社会構造まで、あらゆる点に規範を設定する。この時、この場所、この状況下では、このように振舞えば大丈夫だが、それを越えると文化的に裁かれる。Feトリックスターはこれを全く認識していない。このため、彼らは気難しいと称されるが、Fiチャイルドは実際には同情的である。しかしFiチャイルドは社会規範を認識しない罪で虐待される。
次にESFPとENFPのTiトリックスターである。彼らの観点からは何でも真実になり得るし、絶対的な真実は存在しない。EFPにとってあらゆることが虚偽である。残念ながら、絶対的な真実は存在する。「絶対的な真実は存在しない」という宣言が真実なら、絶対的な真実は存在することになる。FPたちは論理を理解しておらず、コミュニケーションや説明がなければ信念が現実になる世界に住んでいる。
ただし、Tiトリックスターには利点もある。彼らは何が真実で何が虚偽か認識していないため、ENFPは全てのアイデアを集結して繋ぎ合わせ、偉大な戦略家となることができる。そして潜在意識ISTJでアレクサンドリア図書館になることも可能である。Tiが欠如しているため、ESFPやENFPは愚かなイメージを持たれているが、それは真実ではない。
ESFPは潜在意識INTJで素晴らしい研究をすることができるし、ENFPはメンサに入会することができる。事業開発やマーケティングにも優れているだろう。知性は必ずしもTiだけに結びついているわけではない。Teはインプットで、Tiはプロセスである。プロセッサがTeの情報に真偽の判断を下す。そしてFeのアウトプットに対するフィードバックが返ってくる。
つまり、ESFPとENFPはTeチャイルドで最高のインプットを提供することができる。それはTiトリックスターがいるからこそ可能になる。確かにトリックスターは論理的思考を妨げるが、その代わりに合理的思考を行うことができる。問題は彼らの信念が真実ではないことである。彼らが真実だと思っているものは、実際には集団的な伝聞であり、主観的なものである。彼らの信念が真実と一致しない場合、インプットも間違っている。したがって、Tiの論理連鎖に誤った論理的根拠が入力されることで、アウトプットには価値がなくなる。Teチャイルドは純粋なインプットを提供できるが、データを検証する必要がある。
基本的に彼らが真実を判断する方法は、複数の人々に確認し、統計的に考えることなので、彼らの言うことは論理的思考ではなく信念であることを割り引いて考える必要がある。
次はESTPとENTPのFiトリックスターである。彼らは他の人がどう感じるかに焦点を当てているので、どんなことでも良いことと悪いことがある。何が社会的に適切で、何が不適切なのかよく認識している。ETPは非常に共感的であり、人を気遣うことに重点を置くあまり、自分がどう感じているか見失う。このため同情を示すことはなく、無情である。ただし、EFPが愚か者ではないのと同様に、ETPも悪人ではない。道徳とは主観的なものであり、自分が感じていることが良いか悪いか気にしないだけである。TPに道徳原則を植え付けるために、どれだけ訓練を行っても無益である。それはFPたちの仕事と心得てもらいたい。
「権力に翻弄されないための48の法則」によれば、多くのことは評判に左右される。あなたが道徳原則を持っていれば、それによって高い評判と評価を得ることができる。ETPは自分が高く評価されているかは気にしない。彼らが気にするのは、自分が人々に良く思われているかどうかである。Teクリティックは人々が愚かだと気づいているので、人々がどう思うかは気にしない。彼らの観点からは、善悪は常に主観的なものである。トリックスター機能は全て主観に基づいている。
ISFJとINFJのTeトリックスターは他人が何を考えているかわからない。自分が論理的判断を行うように、他人も同じことを考えていると気づかないのである。彼らの仕事は人々の道徳原則を探し出し、より良い人間にすることであり、他の人々を知的にすることではない。それはESFPやENFPの仕事である。彼らの信念が真実と一致している限り、それは上手くいくだろう。IFJにとって他人の信念体系はあまり意味がない。彼らにとって他人が何を信じているかは問題ではなく、自分の真偽が重要である。
問題はTeインプットが欠けていると、Tiプロセスに欠陥が生じることである。間違った信念体系に基づいた論理は、百害あって一利なしである。彼らは自分の信念に欠陥があることに気づかない。例えば、私をINTJと判定してきたINFJや、MBTIとソシオニクスを一対一で対応させているINFJは、自分の信念体系に欠陥があることに決して気づかないだろう。腐敗した基盤に基づいた真偽の判断は、間違った結論しか導かない。全ての機能は、陰と陽のバランスが重要である。ただし、全ての機能に同時にアクセスすることはできず、全てのタイプは異なる認知的態度を持っている。
詐欺師と言えばENTPのイメージだが、Tiチャイルドも潜在的にそうなり得る。彼らは自分たちがルールや法律に違反していることに気づいておらず、適切なインプットが欠けている。トリックスター機能は人の盲点なので、仲間に補完してもらう必要がある。
そしてNeトリックスターである。ISTPとISFPは他人の意図を全く認識しておらず、早合点する。NTJも人の意図について結論に飛びつくが、ある程度は賢明になることができる。しかしNeトリックスターは他人の意図を全く認識していないので、陰謀に弱い。ENFPのカモ候補第一位である。ISPは目の前にない理論の話もしないし、現実ではない警告に従う気もない。彼らの脳内では既に将来が定まっているので、「もしも」を心配する必要はないのである。
彼らは自分がやりたいことをわかっており、その選択をする完全な自由がある。他人が何と言おうと、それは単なる理論であり、優先事項にはならない。そしてENFPに全財産を巻き上げられて呆然とする。そこに後ろからバスが激突する。警告を聞いておけばよかったかもしれない。
Neトリックスターは将来的な脅威や攻撃に気づかない。あるいは他人の意図について間違った結論に達し、人の感情を傷つけたり人間関係を台無しにする。女性が自分のことを好きだと思い込むが、実際にはそうではない。結果として彼らは強姦魔になる危険性がある。そして刑務所に閉じ込められ、自由を奪われるのである。
このようにトリックスター機能はダメージを与える可能性がある。この機能はブラックホールのようなものであり、人を行動させ続け、成長を促進するためにある。私たちは全てを知っているわけではない。クリティック機能の偽善を謙虚にするために、トリックスターを通じて弱さを受け入れる必要がある。
ENFJとENTJのトリックスターはSiである。彼らは長期記憶が欠如しており、常にメモ帳を携帯している。物理的環境に記憶を保存したり、トーテムを作成していない場合、全ての記憶は消滅する。Siユーザーと記憶を共有して、彼らに思い出してもらう必要がある。重大なトラウマを経験した場合は、その小さなハードドライブに格納されるかもしれないが、それでスペースは一杯になる。ENJは自分をアルツハイマーや認知症と疑うが、元々物忘れが激しいだけである。
このためENJには義務感がない。彼らに「すべき」ことはなく、自分たちが望むものだけがある。それは主観的なものであり、現実に経験を共有することが重要である。彼らの物忘れを批判するのではなく、代わりに覚えておいてやらねばならない。するとあなたを見るたびに彼らは記憶を思い出し、あなたをトーテムとして重宝するようになる。
ESFJとESTJのNiトリックスターに何かを望むことを許してはならない。彼らに意思決定をさせると、あなたの未来もろとも破壊することになる。彼らに代わって決定を下し、何をすべきか伝える必要がある。ESJは命令されることを望んでいる。彼らはあなたが何を望んでいるか知りたいだけで、自分が何を望んでいるかはわからない。
彼らに決定を下させると、Neチャイルドによって皆が道連れにされることになる。あなたの望みを彼らに伝えたり、良い経験を与えて義務を負わせることで、将来の危険を回避することができる。他の人々の成功事例を共有することで、彼らもそれをやるべきだと誘導する必要がある。大きな買い物ではESJに付き添うことが必須である。そうでなければ、間違った決定を下して欲しくもないものを買ってしまうだろう。
INTPやINFPのSeトリックスターは自分が他人に与えている経験に気づかないので、他の人に良い経験を与えるために何をすればいいのか指示する必要がある。また物理的環境を知覚していないので、物にぶつかったり、物を落としたりする。ファッションセンスも酷い。彼らは他の人が自分の服装にどう反応しているか理解していないので、Siチャイルドに状況ごとの服装パターンを訓練しなければならない。
彼らはそれを受け入れるだろうが、デフォルトではファッションセンスが皆無である。そして今何が起こっているかも気づいていないので、抽象的な夢の国に移住して、白昼夢を見ることになる。彼らを不快にさせて、地球に戻さなければならない。INPは時と場合によって、うるさすぎたり、静かすぎたりする。彼らにとって現実は主観的なものなので、何でも起こり得るのである。
トリックスターは認識が欠如しているため弱いが、楽観的なのでこれを制御できると思っている。しかし実際は盲点であり、制御することができない。これに対処する方法は二つある。一つは他のタイプにカバーしてもらう。もう一つはエミュレーションを利用することである。多大な精神エネルギーは要するが、トリックスター機能をエミュレートするのである。例えばISTPと話す時は、善良で道徳的なふりをする。この時の為に子供時代にごっこ遊びをするのである。
盲点をエミュレートすれば、その機能を必要としている人々にとって、非常に役立つかもしれない。ISTPは道徳的な人間を必要としている。劣等Feは同情して欲しいのである。Fiトリックスターは全ての精神エネルギーを費やして、彼らに同情している振りをする。大抵の人々はあなたがどういう人間であるかに興味がなく、彼らが望む何らかの条件を満たして欲しいだけである。上手くエミュレーションできれば、ISTPはあなたを高く評価し、潜在意識ENFJでその努力を指導およびサポートする。
基本的に、トリックスター機能は謎である。これは弱さの結果であり、人々を謙虚にする機会を与えるために存在する。トリックスターは、クリティックの知恵にアクセスするために必要な謙虚さを与えてくれる。クリティックとトリックスターは軸上にあり、互いにリンクしている。自分の弱さを認め、トリックスターの役割を受け入れることから得られる謙虚さを持たずに、知恵にアクセスすることはできない。
他人の弱さを批判するのではなく、彼らの盲点をカバーして支援する。隣人を自分のように愛するのである。自分を大切にして自分自身の弱点を知り、同様に他人の弱点を知ることでカバーする。すると彼らもあなたの真似をするようになり、あなたは彼らを好きになる。ISTJやINTJは社交的な失敗を何度も何度も繰り返し、改善の余地もない傲慢な人間に見える。劣等機能の不安も傲慢さを生み出すが、トリックスターの弱みも傲慢さの原因になる。
謙虚さがなければ、クリティックの知恵にアクセスできない。種族が成長し、精神が発達して、心の4つの側面全てを完全に統合することが必要である。謙虚になり、それを弱みとして認識し、助けを求める姿勢を持つことで、トリックスター機能を開発することができる。二人がお互いを支え合うことができない場合は、第三者を連れてくるべきだろう。そうすれば全員で死角をカバーし合うことができる。
このトリックスターは人種差別の原因にもなる。SJが人口の40%、SPが30%なので、合計70%がS型である。彼らのトリックスター機能はデフォルトで一般的なことになる。一方、INTPやINFPのトリックスターは一般的ではないので、彼らは固定観念の犠牲になる。あるいはENJのSiトリックスターは物忘れが激しいので、彼らは頭が悪いのではないかと思い悩む。特に劣等TiのENFJはそうである。
SJ協会の人々が有するトリックスターは一般的なので、これは不公平である。全ての人にはトリックスターという弱点が存在することを理解し、自分にもこうした弱点があることを認めなければならない。彼らの弱さがあなたの弱さより一般的ではないからと言って、劣等だと見なすのはやめるべきである。それはブラックホールであり、完全に主観的なものだと見なされる。あるタイプにとって客観的なものは、他のタイプにとって主観的である。要するに、バランスが悪い。
したがって、我々はお互いの盲点をカバーし、エミュレーションを通じて相手のニーズを満たす責任がある。そうすれば世界を越えて、人々を良くすることができるだろう。村人としてグループワークに参加したくないなら、王になるしかない。いずれにしても下々の者を取りまとめなければならないが、それができるなら、やるがいい。
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