今回の主題は、協調的な人々と実用的な人々の違いである。一連のシリーズはタイプグリッドをどのように理解し、どのように使用するか、そして各々の要素がタイプグリッドを使用する人々にとって何を意味するかに焦点を当てている。気質とインタラクション・スタイル、それぞれに三つのツールがある。今回は気質を決定する要素である、協調と実用を取り上げる。

本題に入る前に、プライマリとセカンダリの原則を理解して欲しい。これを言い換えると、陰陽の法則である。小さな黒い点のある白い部分が陽、逆に小さな白い点のある黒い部分が陰になる。基本的に陽は剛であり、陰は柔であるが、陽は陰の副次的な素養を持ち、陰は陽の副次的な素養を持つ。これが心の4つの側面に何の関係があるのか?あなたの心には4つの側面、つまり自我、潜在意識、無意識、超自我がある。潜在意識であるアニマ・アニムスは、常にあなたと逆の性別を持つ。あなたが男性であれば潜在意識は女性だし、女性であれば男性の潜在意識を持つ。つまり誰もが、異性の二次的な特性を有することになる。これはトランスジェンダーの概念と類似性がある。将来的に、トランスジェンダーを掘り下げて、それが心の4つの側面でどのように表れ、どのように機能するか示すつもりである。とにかく、ここでの議論ではプライマリとセカンダリが重要になる。誰もが率直に話せるし、情報提供もできる。誰もが行動するし、制御することもできる。開始することも、反応することもある。抽象的なことも、具体的なことも考える。協調することも、実利的に動くこともある。構造にも、動機にも注意を向ける。これらの特性を全く持たない人間はいない。これらの特性の半分はプライマリであり、残りの半分はセカンダリである。そしてタイプグリッドは、その人物が自我で使用している特性を突き止めるためにある。

自我を特定することができれば、心の4つの側面が分かり、8つの心理機能がわかる。彼らがどのように考え、どのように感じており、何を心配しているのか、どんな知恵を持っていて、幸せは何かを知ることができる。自我が使用する特性は、心の他の側面にとっては二次的なものである。彼らの主な気質が何で、主なインタラクション・スタイルは何か?ポイントは、プライマリを特定することである。これを抑えた上で、協調と実用の違いに移る。これらはリンダ・ベルンの”Understanding Yourself and Other”を出典とする。同名のシリーズが複数あるが、その中に気質をテーマとする著書がある。

リンダ・ベルン博士は、人のタイプを特定する方法についての権威である。一方、ジョン・ビーブは心理機能に関する権威と言えよう。ベルンは著書の中でカーシーの用語の定義について非難している。多くの人々はカーシーの用語に慣れているが、NTを合理主義者と呼ぶことには反対である。NTの半分は非合理的なことは、TeとTiの違いを考えればわかる。しかし私の目的はラベルの貼り換えではなく、人々を教育することである。自分が賢くないことを知って不快な気分になる人もいるだろうが、あなた方が教育を受けて自分や他人のタイプを識別できるようになり、心の4つの側面を知って、自分自身を理解すれば、より良い人生を送れるようになるだろう。

協調的な人々は守護者であり、理想主義者でもある。これを横文字にするとアフィリアティブというが、アフィリアティブな気質は人に焦点を当てる。彼らはグループやコミュニティ、相互依存を前提として動いている。彼らは互助会的な人間関係を好む。プラグマティック、実用的な人々はその逆である。SPやNTは個人主義者であり、独立性を求める。どうすれば自由に物事を行い、やりたいことを実現できるか?重要なのは自分が何をしたいのか、自分の為に何をするかであり、グループに貢献することや他人に同意してもらうことではない。SJやNFは他人に集中しており、玄関マットになる危険性がある。自我が実用的でも、潜在意識が協調的だと、やはり玄関マットになるリスクがある。協調的な気質のプライマリは相互依存であり、実用的な気質のプライマリは独立である。SJやNFは社会正義の戦士よろしく活躍する。彼らは人々を包括的に捉えているが、NTやSPは自己決定や自分の運命を重視している。自分が求めている経験は何で、達成したい目標は何か?実用的な観点から見た卓越性と個人の業績が、彼らの焦点である。職人や知識人たちは自律的に動き、結果を求める。

ベルン博士は、これを具体的に述べている。協調的であることは、グループやコミュニティなどの規範や価値観に従うことである。学校、会社、家族、どのような集団でもいい。協力することや合意を得ることに重点を置く人々は、NFかSJである。実用的な人々は、自律的に行動することを好む。協調的な人々は、定義された役割を必要とする。さらに、仲良くしてくれる人や、協力してくれる人も重要である。グループが団結して、皆が仲良くしなければならない。仲良くしたくなくても、協力して調和しなければならない。実用主義者は自分がイニシアチブを取り、自分で物事をやり遂げる。どのような役割にあるかは関係ない。彼らは能力に基づいて報酬を受け取りたいと思っている。

SPとNTはメリットを重視する。一方、SJやNFはサービス時間が重要である。「あなたがグループの為に多くの時間を費やしてくれたので、それに報いたいと思います」と言い出すのが協調的な人々である。それに対して、実用的な人々は「時間を費やしているだけで、大して優れていない。自分の方が報酬に値する」と考える。協調的な人々は、他人が迎合しないと不安になったり、怒ったりする。この怒りや不安は、気質の組み合わせに応じて程度に差がある。SJとSP、NFとNTは具体性と抽象性が一致しているため、共に行動することを好む。これらが一致していれば、ある程度の寛容性が生まれるだろう。しかしSとNも不一致となると、対立は避けられない。これらがどのように変化したり、影響を与え合うかは知っておく必要がある。

実用的な人々は、物事を勝手に決められたり、役割を押しつけられると不安定になる。個人の主権はNTやSPにとって非常に重要である。NFやSJにとって、個人の主権は二の次であり、グループや家族が大事である。彼らにとって、主権は個人ではなく集団にある。とはいえ、人間育成の観点から見ると、誰もが自分の主権に責任を負うべきである。これは自尊心の問題にも繋がっている。実用的な人々は障害物を好まないが、往々にして何らかの役割やグループが障害物として立ち塞がる。そんなSPやNTに、協調的な人々は「協調性がない」と怒りの声を上げる。どちらが正しいかと言うと、どちらも正しくないのだが、協調的な人々の方が多数派であり、「皆で協力する」という字面の良さで市民権を得ている。ガンジー、イエス・キリスト、マーティン・ルーサー・キングは協調的な気質であり、ベンジャミン・フランクリンやニコラ・テスラは実用的な気質である。どちらも目的地に達することはできるが、一方は協力と合意を、もう一方は個人を重視する。

アイン・ランドのオブジェクティビズムは、個人の力に焦点を当てている。これは非常に利己的に見えるが、アイン・ランドはINTJなので実用的だっただけである。協調的な人々は玄関マットになる可能性があり、実用的な人々は自己中心的に見える可能性がある。彼らは許可を求めるのではなく、行動してから許しを得る。正しいことをするのに、許可を求める必要はない。主導権を握り、実現させた後に、そのアイデアが機能すれば、結果として許しを得ることになる。

協調的な人々は常に許可を得ようとする。権威主義者と自由主義者の違いに近い。その中で左派か右派に分かれたり、中道派になったりするが、権威主義者はルールを破る際は許可を求める。自由主義者になるSJがいたとしても、それは心の4つの側面を統合したり、個人的な哲学を発達させたレアキャラである。そして大多数の人々は権威主義者であり、自由主義者は少数派である。

「自分は実用的だから、協調的なタイプが多い社会で生きにくいのか」と思っただろう。その理解でも結構だが、これはもっと大きな問題に繋がっている。そもそも、何故「人の気持ちを察して協調する」ことが常識なのかというと、学校でそう教えられるからである。現代の学校教育は、プロイセン式をモデルとしている。これは若者を戦争中に逃亡しない従順な兵士に育成することを目的としたものである。終戦後もこの形態が継続しているのは、権威に対する服従や協調性を教え込めば、将来の雇用に都合が良いからだろう。初代文部大臣閣下は、こう仰っている。

あらゆる学校の管理において、なすべきことは生徒のためではなく、国家のためであることを忘れてはならない。

森有礼

あなたがおかしいのではなく、「自分として生きること」は国家に反逆することと同義なのである。「お国の為に死んで来い」が「同僚と協調して税金を納めろ」に変わったに過ぎない。

本題に戻ると、誰かのタイプを知りたい時は、「この人は協調主義か実用主義か」と考える。例えば付き合っている女性が率直で、行動志向であればフィニッシャーである。彼女にデートの計画を話せば喜ぶだろう。その内容が具体的であることを好むなら、ISTJかISTPである。彼女が独立性や自律性に焦点を当てておらず、家族や職場の人々に依存しており、何かと許可を求めてくるならISTJである。つまり、ISTJと相性の良いESTPのように振る舞えばいい。タイプグリッドを知っておけば、自分や他人のタイプを特定し、最善の結果を得るために他のタイプの振りをするか、それとも自分として振る舞うかを選択することができる。どちらを選ぶかは、あなた次第である。