これまで心理機能について基本的な要素を説明してきたが、今回が第1シリーズの最終回となる。心理機能の話は今後も続けていくが、理論の根幹として知っておかなければならない話は全て網羅したことになる。

認知的移行の例として、ESTPを使用する。自我ESTP、無意識ISTJ、潜在意識INFJ、超自我ENFPである。4番目の劣等機能と5番目のネメシス、8番目のデーモンをゲートウェイ機能と呼ぶ。創作物で主人公が新たな扉を開けて力を得るように、この機能から心の別の側面にアクセスする。悟りとは、全ての側面が調和して統合した状態である。その状態になると、最上の自己に到達できる。しかし前回も述べたように、デーモンの問題があるので、ここに至るのは難しい。

ESTPは自我と超自我が外向、無意識と潜在意識が内向なので、精神エネルギーが心理機能と心の側面の間で移行する。三人以上の人間が集まると、外向的な状況である。内向的な人々は1対1、あるいは一人きりの時間でエネルギーを得る。外向的な人間は、そのような状況で消耗する。彼らは三人以上の人間がいる場に赴いて、エネルギーを回復する必要がある。自我ESTPは多くの人々を従え、アルファとして彼らを教育する。潜在意識INFJは、人々や世界をより良くすることが目的である。ESTPはオメガをベータやアルファに成長させるために、強引に説得しようとする。それはしばしば説得と言うよりも虐めである。INTPやINFPがそのような対象となりやすいが、Siチャイルドは頑固に現状を維持しようとする。潜在意識INFJはNiでひとつの対象にエネルギーを集中するが、長く続けていると疲れてしまう。

ESTPが不安になると、彼らは潜在意識INFJに移行する。そして自分が改善しようとしていた人々を疎外するのである。ESTPはオメガを虐めるのはやめるべきだろう。彼らはSeヒーローで他の人々がやっていることを観察し、自分が望むものを知る。しかし不安に囚われると、決断することができなくなり、単なる色情狂になってしまう。ESTPは失敗を恐れず、決断する必要がある。失敗はSiに知恵を与えるだろう。INFJは知恵を授ける賢者である。失敗や痛みを避けて、知恵を得ることはできない。潜在意識INFJが意味するものは知恵である。ESTPが周りの人々に危害を加えたり、疎外することで人々は離れていく。ESTPが安全ではないからである。彼らは自分が望むものを知るために、何度も失敗しなければならない。

どのタイプも劣等機能に不安を抱えているが、成熟するに従って発達し、それを強く望むようになる。ESTPがNiを志向すれば、潜在意識INFJを通じて、人々に良い影響を与えられるようになるだろう。潜在意識にアクセスするには、劣等機能を通じて移行しなければならないが、方法は二つある。一つ目は不安、二つ目は願望である。不安から行動した場合、結果は望ましくないものになるだろう。最高の自分になりたいという願望によって行動した場合、良い結果を得て、最も幸福な人間になれる。潜在意識をマスターする手段は、恐怖を克服することである。フランク・ハーバート曰く、恐怖は心を殺すものである。恐怖を和らげるには、読書して視野を広げるのがいい。時間が無い?オーディオブックがあるだろう。自分が何の役割を果たすために生まれてきたのか、答えが見つかるかもしれない。

次に無意識だが、無意識へのゲートウェイ機能は五番目のネメシスである。ESTPのネメシスはSiであり、過去や安全を心配している。この心配は問題を生み出すことが多い。無意識は自我の未熟なバージョンである。物事を心配し続けていると、無意識は未発達のままに留まる。ESTPは過去の経験より良い経験を得ることができないのではないか、と心配している。しかし無意識ISTJは多くのデータを収集し、プロセスを最適化することで、自己規律を得ることができる。そしてSiはひとりの異性に忠誠を捧げることができる。ESTPはSiネメシスにより、色情狂となって、手当たり次第に異性に手を付ける可能性がある。ネメシスの心配を克服するにも、失敗が有効である。

潜在意識と無意識は、自我に二タイプの能力を加える役目を果たす。ただし、無意識に長く留まると精神エネルギーを消費するので、自我に戻る必要が生じてくる。超自我は少し違う。超自我は精神の最底辺である。これは人間の腐敗の源として知られている。デーモンは非常に強力で、人が問題解決する最終手段である。問題は解決しても、世界は破壊され、辺りは焼け野原となる。超自我は自我に取って代わろうとしている。この二つの側面は永遠に闘争する運命である。超自我には、8番目のスロットにあるデーモンからアクセスする。私のデーモンはFiなので、「○○タイプの人が傷つかないような記事を書くのが良いことだ」という道徳的信念などは持ち合わせていない。私の役目は真実という炎で、人々の目を覚ますことである。本当に人の心に残るのは美しさではなく、痛みである。

デーモンはファウストとの取引であり、強大な力を振るう。カトリックでは婚前交渉を禁止しているが、それを破る人々は大勢いる。同様に、デーモンも禁止されると檻を破って暴れたくなるのである。人間とは、やるように言われたことと逆のことをするようにできている。デーモンは自然の獣のようなもので、何の制約もなく自由に振る舞おうとする。その結果、人々の人生を破壊することもある。依存症、小児性愛、性犯罪、売春などはデーモンの所業である。ただし、超自我が役に立つこともある。自我が問題解決に失敗し、無意識と潜在意識も失敗した後、残るは超自我のみである。現在の自分を破壊し尽くすことで、新たな人生を生きることが可能になる。超自我の真の目的は、人生を再構築することである。これは自殺して来世に賭けるという意味ではない。

例えば、あなたが誰かと不健全な関係にある場合、悪魔と取引してでもその関係を破壊する必要がある。それが超自我の使い道である。この取引で失うものは何もない。リセットボタンを押して、新たな人生に進めばいい。不安や心配に囚われていると、人生は停滞する。これらを克服して各側面を統合することが、悟りへの道である。