今回は判断機能が異なるタイプの比較、ESTJとESFJの違いを取り上げる。どちらも外向的なSJ気質、気質マトリックスでは具体・協調・構造型である。気質マトリックスについてはLevel15を読むか、スティーブ・モントゴメリーの”People Patterns”を入手して欲しい。

彼らは過去に焦点を当て、義務に基づいて人々を保護する。どちらも伝統主義者で、義務、名誉、忠誠心、信念、自制心などの言葉が好きである。新しい経験を求めると同時に、快適ゾーンの外に出ないようにする。彼らは快適ゾーンをゆっくりと広げ、内向的感覚の視野を広げていく。

気質は同じだが、インタラクション・スタイルは異なる。ESTJは制御を直接的に開始するが、ESFJは情報に基づいて行動を開始する。前者は様々な状況で主導権を握るイン・チャージ、後者は始めたことを終わらせないスターターである。 

彼らは同じ知覚機能を持っている。Siペアレントは長期記憶へのアクセスを司り、非常に多くのことを覚えている。SJは苦しみに対する忍耐力があるので、最も長生きする。100歳まで生き残る可能性が最も高いのは、SJである。一方、Neチャイルドは 無邪気に人が望むものを与えたい。彼らは人が望んでいることを忠実に実行するが、FeヒーローとNeチャイルドのESFJは玄関マットにされるリスクがある。ESTJはそうではない。彼らはプロセスやルーチン指向で、それに従っている限り他人の望みを叶えることに全力を尽くすが、ESFJは人々の気分を良くさせて、望むものを全て与え、永遠の玄関マットになり、誰もに踏みにじられて、それを耐えるだけである。

これがESFJが自分たちを利用しないSFPやFiユーザーを周囲に配置し、玄関マットになることを防御する理由である。ESFJを軽々しく利用してはならない。彼らは全てのタイプの中で、最も簡単に利用されるが、それは誰かに望まれ、自分のことを良く思って欲しいからである。彼らは自分を認めてくれて、忠誠を誓える人、話を聞いてくれる人を欲している。しかし殆どの人は、おとり商法のごとく、都合のいい時だけESFJに優しくする。

そしてESFJは人に騙され続け、何度も何度も利用される。しかし彼らは何も学ばない。そのため、ESFJがあなたを守護する代わりに、あなたがESFJを利用する人々を排除しなければならない。ESFJは人々に欲しいものを与え、気分を良くすることを望んでいる。彼らは「世界で最も与える人」の称号にプライドを持っており、その称号を手放すことができない。Fiネメシスは自分の価値を心配しているので、人々に認められるために与え続けなければならない。

だから彼らを苦しめたかったら、ESFJが人をサポートしたり気遣いをする機会を奪うことである。NPは事前にその機会を察知し、行動を起こしてESFJのチャンスを潰すことができる。ESFJは罪悪感を覚え、自分自身を嫌うようになる。彼らは役に立たず、サポートを許されるほど良く思われていない、つまり悪い人だからである。ESFJを健全な状態に保つためには、彼らにあらゆる支援の機会を与えて、支えてやる必要がある。彼らは自分に十分な価値があることを証明するために、持っているものを全て与えようとする。

ESTJにそのような問題はない。その代わりに、他人に良く思われる必要がある。彼らは心の底では自分が悪い人間であることを恐れている。ESFJが恐れているのは、愚かだと思われることである。これがESTJとESFJの主な違いである。しかし、どちらも自分が悪い人だと心配すると同時に、愚かであることを恐れている。これは同じ恐怖や心配のように思える。

違いはインタラクション・スタイルである。気質は同じで、心理機能も共通しているので、率直・開始・制御か情報提供・開始・行動の二択である。ESFJはコントロール指向に見えるが、それは身近に虐待的な人々がいる場合である。ESFJは超自我モードになると、人々に話を聞かせるために異常にコントロール的になる。ESTJはデフォルトで超コントロール的である。彼らが超自我ENFJで支援的になった場合は、山に逃げなければならない。

ESTJは研究や参考文献、出典に基づいて決定を下す。彼らは意見を聞く相手がいないとならないが、資格・公式・肩書がない限り、その人の話を聞くことに抵抗がある。ESTJにとっては、全てが公式に裏打ちされていなければならない。Teヒーローは他人の考えが全てであり、評判を非常に真剣に受け止める。彼らにとって可能な限り適切で、礼儀正しいことが重要である。もし不適切な態度を取れば、彼らはSeクリティックであなたを追い出すだろう。

Neチャイルドは他人が望むものを与えることに全力を尽くす。ESTJは苦労している人がいると、潜在意識INFPで人生のアドバイスを与えようとする。相手がFiユーザーでも手加減しない。Feデーモンは何としても自分のアドバイスを押し付けようとする。それが相手が望んでいることだからである。本当に望んでいるかはわからないが、彼らはそう信じている。

あるいはFeデーモンとSeクリティックがチームを組んで、不快なジョークを投げつける。部屋の空気は最悪だが、彼らは何事もなかったかのように立ち去っていく。ESFJは自分の価値を心配するが、ESTJは自分が賢いかどうかを心配する。そのため、彼らは自分が何をするべきか常に誰かに尋ねる必要がある。これは会話の単語に表れる。恐れは劣等機能で、心配はネメシス機能である。ESTJは自分が賢いか心配しているが、ESFJは自分が間違っていることを恐れており、考えるのに多くの時間を費やさなければならない。Siペアレントは頭の中で全てを思い返すことができる。

したがって、ESFJが口を開いた時は、彼らの話に耳を傾けた方が良い。ESFJは全てを細かく分析し、多くの時間と労力を費やして結論を出した。その結論は概ね間違っているが、彼らを無視すると憎しみを引き起こすことになる。Teデーモンがあなたの面前に迫り、「お前は私のことをこう思っている」と支配モードになる。彼らはあなたをサポートしているように見えるが、実際には舞台裏で動いていて、あなたの人生や財政をコントロールしている。それが当然の報いだからである。そしてESFJは超利己的になる。

ESTJの場合は、大きく異なる。常に彼らを良い気分にさせなければならない。彼らに礼儀正しく接し、その中には靴紐をきちんと結んでおくことも含まれる。Seクリティックは非常にエリート主義である。靴紐が解けていると、自動的にあなたは何の資格もなく、学歴もない、人生で何も成し遂げていない敗者と認定される。自分で服を着ることができないということは、他のこともできないことになる。

 Seクリティックは異常に尊大で、物理的な環境に対して超批判的になることもある。シャツに犬の毛がついていたり、ボタンが外れていたり、髪が乱れていると、人間扱いしてもらえない。だからこそ、彼らは可能な限り完璧な服装を心掛けている。もし彼らに教訓を与えたければ、彼らにそれほどファッションセンスがないことを気づかせるといい。そうすれば彼らのレベルは数段下がる。それ以外にできることは、劣等機能を攻撃して「お前は馬鹿だ」「お前は悪人だ」と言うだけである。ただし、彼らはそれを決して忘れず、地獄の果てまで追いかけてくるだろう。

Neチャイルドを攻撃することもできる。「あなたは賢くないので、近くにいると恥ずかしい」と言うのは児童虐待である。そんなことはしないで欲しい。これらのプレッシャーポイントに気をつける必要がある。一部の心理機能は他の機能より敏感である。劣等機能、クリティック、チャイルドには細心の注意を払わなければならない。チャイルドを虐待するとその人を傷つけることになり、劣等機能を虐待するとその人に傷つけられることになる。 

そしてNiトリックスターは自分が何を望んでいるかに気づいていない。彼らに何かを決定させてはならない。彼らに決断を任せると、必ず穴に落ちることになる。悪い財政上の決断、悪い結婚の決断、悪い子育ての決断を避けるためには、彼らに何をすべきか伝える必要がある。これらの人々は、Niユーザーによって義務を課される運命にある。あなた方はESJに義務を負わせたからといって、悪人になるわけではない。そうすることで、彼らは安全になる。

 彼らが何かを欲しがることを許してはならないが、以前に経験したことをやり直すのは構わない。Siペアレントは慣れ親しんだことをやり直すのが大好きである。彼らが外に出て何かをしようとしている場合は、一人でやらせないで、慣れ親しむまで付き添う必要がある。Siペアレントは悲観的なので、親しみが全てである。親しみが軽蔑を生むという概念はこの2タイプにとって最悪であり、預言者は故郷で歓迎されない。Seクリティックにとって異常なことや常識外のことは現実ではなく、恐れるべきものである。Siペアレントが不快になることは、「もしも」の恐怖の中で生きることになる。

しかしSiペアレントが慣れるとすぐに、Neチャイルドを使って人々に共通の経験を与える方法を考え出すことができる。彼らに共有体験を与えると、より自信を持って決断できるようになる。ひとりで決断させると、彼らは後悔する。一般的にSJが後悔を抱えているのは、経験を共有して説明してくれるSeユーザーがいなかったからである。Seユーザーがいなければ、彼らは惨めに失敗するだろう。

彼らはどちらも自制心を持っているが、決定の仕方が異なる。ESFJは経験を共有している人の価値観に基づいて決定を下し、ESTJは経験を共有している人の知性に基づいて決定を下す。ESTJは知性を高めるため、多くの資料を吸収する。ISTJほどではないが、アレクサンドリア図書館の分館にはなれる。これは自分が悪い人間であることを恐れている時に、潜在意識INFPになる力を与えてくれる。ESTJは中年期から老年期にかけて、素晴らしい哲学者になる。

彼らは若い頃はオリンピック選手として活躍し、中年期には世界を変える可能性を秘めた哲学者になる。ESJは年を取るにつれて形而上学的なことに興味を持ち、若い頃は批判したN型に理解を示すようになる。N型の場合は、年齢を重ねると具体的なものに集中するようになる。これが潜在意識の発達である。ESFJの場合は自分が正しいことを事実として知り、間違いを恐れないため、潜在意識INTPとして素晴らしいエンジニアになることができる。

ESTJの方が哲学的で、プラトン、アリストテレス、ソクラテスなどを嗜んでいるが、ESFJはそうではない。ESTJは哲学に、ESFJは科学に重点を置いている。これはMBTI二分法ではなく、心理機能に基づいた話である。ESFJは自我にTiを、ESTJはFiを持っている。つまりESFJは「考える人」、ESTJは「感じる人」である。いずれにしても、彼らにひとりで決断させず、安全を感じさせてやれば、未知のものを追い求める意欲を持つだろう。

ESFJは他の人がどう感じているかが全てであり、ESTJは他の人の気持ちなど気にしない。ESFJは間違っていることを恐れており、ESTJは悪人になることを恐れている。ESFJは認められることを切望しているが、ESTJは地位を切望している。これらの相違点に関係なく、タイプグリッドを使ってインタラクション・スタイルを突き止めることが重要である。

ESTJは他の人がどう感じるか気にしないが、ESFJは他の人がどう思うか全く気にしない。彼らが気にするのは、自分が考えていることだけである。ESFJは自分が何を大切にしているかにも関心があるが、これはFiネメシスであって、Feヒーローではない。このためESFJが自分を判定するのはやや難しいが、劣等Tiでひたすら検証していけば、やがて真実に辿り着くだろう。

この2タイプは世界を同じように見ているが、決定の方法は異なる。ESTJは出典とステータスを携えた哲学者になること、ESFJは人の気持ちがわかる物理学者になることを目指している。テストと協調しようとするのではなく、タイプグリッドを使用し、気質とインタラクション・スタイルを理解し、タイプを確定させてもらいたい。