抽象と具体の違いは、直感と感覚の違いである。協調性と実用性の違いも解説したが、今回は構造と動機の違いについて取り上げる。これらの特徴は誰もが持っているので、自分がどちらに属するか混乱するだろうが、プライマリとセカンダリの関係を区別することが重要である。私は主にバックグラウンドタイプだが、無意識はENTJなので直接的になることもある。

タイプグリッドを習得すれば、人々がどのように相互作用し、どのようにコミュニケーションして、生活を組織し、どのように役割を担うのか理解することができる。ISTJなどは「自分は協調性が無い」と主張するかもしれないが、彼らはルールと権威を最も尊重する。Siヒーローは自分の身の安全を守るために、何かをする前に許可を求める。誰かの自我を特定したら、その人物の心の側面を全て知ることができる。心理機能も知ることができるので、様々な人間関係で最良の結果を得るために、コミュニケーションを最適化することができる。

体系的なものに集中し、システムに関心がある人々と、人々の動機や興味に注意を集中する人々がいる。前者がSJとNT、後者がSPとNFである。前者はフレームワークを使用し、後者はモチベーションを重視する。これはリンダ・ベルン博士が”Understanding Yourself and Others”シリーズで提唱している理論である。おそらく訴訟を回避するために、MBTIやデビッド・カーシーとは異なる用語を使っている。MBTIは単なるテストであり、売り上げの為に常に改良が施されているが、そこに真実はない。彼らの目的はタイプを突き止めることではなく、テストや認定ユーザー資格を売りつけることである。ベルン博士の情報を基に、タイプグリッドを利用して自分自身や他人をタイピングする方法を学ぶことができる。気質とインタラクション・スタイルの交差点が、その人物のタイプである。

構造に集中する人々は、コントロール志向の人々とは異なる。コントロールタイプは自分のペースで計画を進行し、混乱を極力減らした上で物事を進展させようとする。構造タイプはシステムの観点から考え、他人に適用できるフレームワーク、ラベル、モデルが常に存在する。それを人々に当てはめ、順序や編成方法に注意を払う。それらがどのように構築されており、欠陥や改善点はどこで、人生の問題にどのように対処できるかが焦点である。彼らは方法論で問題を解決し、その後プロセスを考え出す。コントロールタイプの場合はプロセスを計画として実装し、ムーブメントは個別にプロセスを利用する。システムに注意を払ったり、システムを開発するのはSJやNTである。彼らは人生の様々な側面をルールや社会規範などのシステムに当てはめる。

例えば、就職面接にSJやNTが現れると、彼らは非常にきちんとした服装をしている。彼らは良い第一印象を与えるためにシャツのボタンを留め、髪を整える。SPやNFは服装に隙がある。彼らは就職の基準や、プロセスに従うことを良しとしない。SPが知っているのは文化規範ではなく、自分が何をしたいのか、今すぐにでも就職したいということである。しかし文化規範のせいで就職できないことに気づくと、服装を整えるようになる。

私は構造タイプなので、体系的な人間である。システムやモデル、方法論を読者に紹介している。SJやNTはシステムベースである。SPやNFもそうできるが、それは二次的なものである。SPやNFは仕事を得る時、デフォルトで方法論に従うわけではない。SJやNTには方法論があり、それに沿った展開になることを期待している。彼らは何が問題になるかを理解しており、それを実現していく。それが体系化というものである。

物事が体系的でなく、プロセスとルールに明らかな欠陥がある無秩序の場合、彼らは上手く機能することができない。おそらくNFはコミューンを主張するだろう。小さなコミューンがあちこちにあることが彼らの部族には望ましい。SJとNTは家族や教会の組織図を作成できるだろう。ただし、あまり細部に注目すると、その背後にある人々の動機を見逃してしまう。「森を見て木を見ず」とは、このことであろう。彼らの方法論が常に適用できるとは限らないため、構造タイプにとって問題になる可能性がある。だからこそSPは「自分にその方法論は当てはまらない」と、ルールや規範をテストする必要がある。これはESTPやISTPに見られる行動で、彼らはルールを破り、どのような結果をもたらすか確認した上で、守る価値があるかどうかを決める。「破るべきではなかった」と痛感する場合もある。構造タイプはルールや規範を尊重するが、SPやNFにとってルールは恣意的なものである。

他の人々が何を好み、何に興味を持っているかに注意するのがSPとNFである。各人とのやり取りや出来事は、全て新しいものになる可能性があるので、フレームワークや方法論には焦点を当てていない。彼らには自分が何を経験したいのか興味や動機があり、他の人々にもそれがあることを知っている。SJやNTにとって、それは主要な関心ではない。SPやNFは特定の社会的状況において、他の人々が何に興味を持っているか把握しようとする。SPは「この人が私から得ようとしている経験は何か」を気にする。NFPの場合は、「この人が何を望んでいるか」になるだろう。

これらの人々は、意図、動機、利益が明確になっている時、最も快適である。彼らは他人の動機を利用する。他人の動機を知れば、一般的なルールやフレームワークではなく、それに基づいて協力することができる。スーツ、履歴書、FacebookやLinkdinプロフィールなどは、体系的な方法論である。しかしSPやNFのやり取りはケースバイケースであり、相手の興味次第である。相手の興味を自分が満たすことができれば、自分が権力を得られるかもしれないし、取引できるかもしれない。あるいは、自分の興味を共有すれば、誰かが助けてくれるかもしれない。構造タイプの場合は、ルールや規範が物事を実行する動機になる。彼らは動機を規格に則った提案書にまとめて提出して欲しい。NTは科学的なモデルや戦略を支持し、SJは常識や社会規範を重視する。SPやNFは「金が欲しい」と言って欲しい。

NFは出来事の背後にある大きな意味や深い目的を見つけることで、関心事にアプローチする。「このルールや規範には何の意味があるの?彼らが話している裏にある意味は?」。推測ではなく、人々が何を望んでいるのか知る必要がある。彼らが常に他人の意図や動機を勘繰っているわけではない。それはNeネメシスであるINTJやINFJのやることである。NFは周囲の人々の興味を理解し、それらの人々とどのように交流するかを知る必要がある。そうすれば、理想的に行動することができる。彼らが何に興味を持っているか知らなければ、理想的なソリューションを提供することができない。SPも同様である。彼らにどんな家を建てて欲しいのか、どんな経験を与えて欲しいのか伝える必要がある。彼らは4つの異なるタイプであり、4方向からそれに取り組もうとする。

問題は、彼らが全ての詳細を追跡していないことにある。彼らは行動の背後にある目的に注目するあまり、細部を見落とすことがある。構造型の場合、「詳細は全てわかっているが、それをする目的が無い」という事態になるかもしれない。細かいことに気を取られて、やり取りの目的を忘れてしまう。そして「言った」「言わない」の責任転嫁が発生する。SJやNTは細部に、SPやNFは目的に焦点を当てる。ポイントは何で、それをする意味は何か、要点が知りたい。家を建てたり、理想的な状況を作り出すには、それらの興味が必要である。状況を整理するには、何らかのシステムが要る。STJにとっては税法がそれにあたるかもしれない。あるいは、ESFJには誰かを世話するためのルーチンが必要だろう。いずれにせよ、SJとNTはシステムを、SPとNFは利益を重視する。

例えば、あなたがENTJの女性で、男性を物色していたとする。良さそうな男がいたので話しかけてみると、彼は詳しく自己紹介してきたので、スタータータイプかバックグラウンドタイプに見える。話していると、彼はアイデアを次々と実行していく。つまり、行動重視である。彼はスタータータイプで、ESFJ、ESFP、ENFP、ENTPのどれかである。彼は抽象的に車のオイル交換のプロセスや方法論について話すので、ENTPとなる。システムを重視するのはNTである。ENTJはENTPと相性が良い。そういうわけで、デートに誘い、コーヒーでも飲みに行くことになる。

このように、気質の異なる三つのツールセットを併用することで、各ツールを比較・対照することができる。具体と抽象、協調と実用、構造と動機。この三つを理解すれば、誰かの気質を判定することができる。そしてインタラクション・スタイルの直接と情報提供、開始と応答、行動と制御という三つのツールセットを更に比較する。最後にタイプグリッドを使用して、気質とインタラクション・スタイルが一致する点が、その人物のタイプである。

今回で気質の特性は全て説明し終えたので、次回からはインタラクション・スタイルに移る。その後タイプグリッドやタイプ判定に関する記事をいくつか投稿する予定である。