今回は八つの心理機能のトリを飾る内向的感覚について取り上げる。心理機能については最後の話であり、最後の知覚機能でもある。アルファベットではSiと表記される。心理機能の話は今回で終了するが、このシリーズ自体はもう少し続く。
内向的感覚は長期記憶と紐づいている。上位4つの自我にある心理機能に内向的感覚が含まれている人々をSiユーザーと呼ぶ。自我にSiを持つのはISTJ、ISFJ、ESTJ、ESFJ、INTP、INFP、ENTP、ENFPである。16タイプ中8タイプがSiユーザーと称される。どのタイプも内向的感覚を持っているが、残り半数のタイプは無意識にSiを持つ。
内向的感覚とは、それを持つ人々に義務感や名誉を欲する欲求を与える。名誉は通常、内向的感覚と外向的感情を組み合わせた時に発生する。強い義務感、安定、伝統、名誉を持つためには内向的感覚が必要である。Siはとても地球に優しい機能である。外向的直観は水であり、内向的直観は火である。外向的感覚が風であるならば、内向的感覚は土である。心理機能がどの四大元素に由来しており、どの特性を共有しているかもタイプを語る上で重要になる。
外向的感覚は内向的感覚に経験を与えることを好むので、地球に吹く風のようなものである。外向的直観は内向的直観の火を水によって抑制する。算命学ではこれを火水の相克と言う。これは完璧な陰陽の均衡をもたらす。風と大地も同様である。風はハリケーンのような力を持てば、地上に大規模な破壊を引き起こすパワーを持つ。内向的感覚は過去に焦点を当て、義務に基づいて機能する。彼らは安全性と快適性に重点を置いている。Siユーザーにとって快適であることは非常に重要なので、Seユーザーは彼らの快適性を必要に応じてコントロールすることがポイントである。
Siが上位にある人々は、快適さ、安全、義務、責任、伝統を重視する。彼らは全てを思い出すことができる。20年~30年前のことを持ち出して、「いつまで言ってるの?」と咎められる人々である。内向的感覚は何も忘れない。勿論、認知症になれば別である。”Fix Your Gut”という本では、腸内細菌が原因で精神的な病に陥る例が挙げられている。アルツハイマーになるのはSeユーザーであり、認知症になるのはSiユーザーである。
外向的感覚は短期記憶であり、記憶を一時的にしか留めておくことができない。新しい情報が古い情報を押し出してしまうので、Seユーザーは忘れっぽい。Siユーザーは全ての情報を把握しようとするが、ランダムアクセスメモリが小さいので、反応するまでに時間がかかる。情報を与えてから動き出すまで待機時間が必要である。外向的感覚は短期記憶へのアクセスであり、内向的感覚は長期記憶へのアクセスである。これは彼らの内部にあるハードドライブに格納されている。
過去の知識のおかげで、Siユーザーは自分の中に蓄えた集合的な知識を全て拡張し、外向的直観に繋げて予知能力を発揮することができる。他の人々が何を望んでいるか事前に知ることで、Niユーザーと関係を築くことができる。これが人間関係を上手くいかせるコツである。Ni-Seユーザーは、Ne-Siユーザーと共にあることが望ましい。
人々は一緒に行動するが、自分たちの関係がなぜ上手くいかないのか疑問を抱く。そして類型論や心理機能に出会うと、「これが原因だったのか」あるいは「これを学べば人間関係の悩みがなくなるに違いない」と期待を持つ。しかし、これらは単なる疑似科学である。そもそも、人は何が真実か判断することができない。私はできるので、こうしてブログで愚かな人々を教育している。
心理機能を学ぶことで、他の人々が悪意から特定の行動を取っているわけではないことを理解することができる。彼らは自分が振る舞いたいように振る舞っているだけである。それが彼らの性質だから仕方がない。性格タイプは人間の本性である。しかし、「タイプ由来の行動」だと思っていたら本当に悪意だった、ということもあり得ることは心に留めておくべきであろう。何と言っても、人の不幸は蜜の味である。
性格タイプを学ぶ時は、それが人間の本性を扱っているものであり、育成についてはわからないことを承知しておかなければならない。Hexacoなどのテストでは、人間の本性について理解することができない。内向的感覚の話に戻ると、Siユーザーと付き合っている場合は、彼らに良い経験を提供することを常に心がけなければならない。そして彼らを快適にさせる。何らかの理由で彼らの行動を変えたい場合は、相手を不快にさせることである。つまり、良い関係を築きたい時と逆のことをする。
しかし、「繊細さん」もいるので、相手に不快感を与えすぎると、関係そのものが崩壊する可能性がある。Siユーザーは非常に忠実な人々である。彼らを追い詰めると、忠誠心を失い、「可愛さ余って憎さ100倍」とばかりに、背中から刺される恐れがある。これはSiユーザーと関わる場合のリスクである。忠誠心を求めるSeユーザーの人々は、この点に気をつけて、彼らに刺し殺されないようにして欲しい。忠誠を尽くしてもらいたければ、Siユーザーが快適であるように気を配る必要がある。
これは姫と騎士の関係になれと言っているわけではない。ただ彼らが語る過去の逸話や経験について喜んで耳を傾ければいい。Siチャイルドは同じことを何度も何度も話すことを好む。彼らの口数が少ないとしたら、それは彼らがあなたに心を開いていないからである。だからSiユーザーの話を初めて聞いたようなふりをするか、「もうその話は10回くらい聞いた」と率直に伝える必要がある。Siユーザーは非常に忍耐強い。彼らは罰を受けるために存在している。彼らはあらゆる経験を吸収するので、Seユーザーの罰にも耐えることができる。
Seユーザーの怒りは凄まじく、嵐のようである。Siユーザーは、その嵐を乗り切り、Seユーザーが冷静に戻るまでやり過ごす。ただし、Siユーザーは全てを覚えている。Seユーザーは自分が怒っていたことも忘れてしまうが、Siユーザーは覚えているので、ある日「身に覚えのない逆恨み」から復讐されることになる。Siユーザーは忍耐力があるので、復讐の瞬間までは優雅に見える。特にISFJのようなSiヒーローは、虐待を受けるために作られているといっても過言ではない。
繰り返しになるが、Siユーザーを追い込むのは絶対にやめて欲しい。Siユーザーは感覚を受け取ることを好む。あなたがSeユーザーなら、彼らに何か物を見せてみるといい。Siユーザーたちも物を見せようとするが、それは「私が作った物を見て欲しい」というよりも、「これ欲しい?」という意味合いである。彼らはNi-Se軸の人々に、欲しいものを与えようとする。常に選択肢を提供しようとするのである。そして、Siユーザーは伝統を大事にする。特にSiとFeが組み合わさると、彼らは伝統的なイベントに家族を参加させる。相手がそれを好むと好まざるとにかかわらず、である。
例えば、SJの親たちは普段どんなに仲が悪くても、クリスマスを一緒に祝おうとする。SJたちは物事ができる限り伝統的であることを重視する。彼らにとって、伝統はそこに参加している子供たちの気持ちよりも大事なものである。人と関係を築く時は、相手が何を大事にしているか見極めないとならない。劣等Siの人々は伝統をそれほど気にしない。クリスマスケーキは食べたいだろう。Siチャイルドは、それがあるとありがたいと思う。Siペアレントは、それがあることを期待する。そしてSiヒーローであれば、それを要求するだろう。
内向的感覚は感覚を受け取ることを好み、外向的感覚は感覚を与えることを好む。これは性的な関係においても適用される。人間関係においては、知覚機能が互換性において重要な役割を果たす。知覚機能が適合していて判断機能が適合していない場合は問題ないが、逆の場合は問題である。知覚機能が適合していなければ、良好な性的関係を持つことさえできない。お互いが感覚を得ようとしている、またはお互いが相手に感覚を与えようとしている状況では、関係は破綻するだろう。これはテクニックの問題ではなく、単に相性が合わなかっただけである。
さらに、お互いの知覚機能がどの位置にあるかも影響する。例えば、Seユーザーは感覚を与えようとする。SeヒーローやSeチャイルドは楽観的なので積極的に感覚を与えようとするが、Seペアレントや劣等Seは悲観的な機能である。したがって、彼らに対してはSiヒーローやSiチャイルドが、感覚を与えることを要求することになる。
まとめると、SJ気質は全てSiユーザーである。この4タイプに加えて、INTP、INFP、ENTP、ENFPもSiユーザーとなる。半数は理想主義者、半数は知識人である。守護者たちは伝統を重んじ、安全志向、義務に集中する人々である。そして彼らは全てを永遠に覚えており、快適である必要がある。SiはNeという水晶玉と連動することで、未来を予測し、将来的にあり得る全ての可能性を知覚することができる。
今回で基本的な心理機能の話は終了する。各々の互換性と異なる軸については今後の記事で詳しく取り扱う予定である。また、ソーシャルエンジニアリングの方法、恋人、上司、両親、子供たちを操作する方法についても、いずれ紹介することになるだろう。今回は以上である。
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