今回はENFJの社会的適合性について取り上げる。この社会的適合性とは、全ての人間関係の基本となる1対1の友情関係を指しているが、互換性と仲間意識は異なるものであることに注意してもらいたい。
仲間意識とは、人々が互いの類似性に親近感を抱いて、人間関係を結ぶことである。例えば、NTJがプロジェクトで協力したり、SFPが何かを共同制作したり、そういった類の協力関係のことである。IFJ、ISJ、NFJ、NTPなどにも同様のことが起こる。タイプ内には、お互いに仲間意識を持つサブグループが沢山ある。例えば、ここにENFJとINFJがいるとする。彼らは社会的互換性において相性が悪いが、それでも両者ともにNFJなので、相手に親近感を抱いて一緒にトイレに行ったりするだろう。
しかし、このような関係を維持するには多くの精神的エネルギーを必要とする。相容れない関係を維持するには、育成の観点から成熟していることが不可欠である。不可能ではないが、理想的ではない。NFJには共通点があるため仲間意識が強いが、互換性があるのは共通点のないタイプである。もっとも、共通点は見つけようと思えばいくらでも見つけられる。ENFJと互換性があるのはINFPだが、シャドウがENFJであるため、この意味では共通点があると言えよう。
この16種類のリストに関して特筆すべき点は、その関係の深さである。これらのリストの上位にあるタイプとは、本当に深い関係を築くことができる。下位にあるタイプは、浅く表面的な知人である。これはミクロ的な進化の観点の話でもある。タイプ関係は様々に分類することができるが、互換性と仲間意識を同時に機能させるのは冗長である。やろうと思えば、全てのタイプと関係を持つことはできるが、それを最適化するには心理機能に互換性があることが必要不可欠と言える。
人々は仲間意識(Camaraderie)と互換性(Compatibility)を組み合わせて協力できないこともない。ただし、これは別の次元の話であり、仲間意識と互換性は立方体の別々の面にある。仲間意識とは、インタラクション・スタイルや気質に着目した関係である。NFPとNFJ、NTPとNTJなどの対比が該当する。仲間意識もそれはそれで機能するが、このシリーズで注目して欲しいのは心理機能に基づく互換性である。本当に素晴らしい関係を築くために、心の摩擦や抵抗を可能な限り抑えたいだろう。
前置きはこのくらいにして、メンターとして知られるENFJとその互換性の話に移る。ENFJはNP、SJ、SP、NJの周りにいることを好む。より詳しく言うと、NFP、STJ、NTP、SFJ、SFP、NTJ、STP、NFJの順が好ましい。全16タイプを羅列すると、INFP、ENFP、ISTJ、ESTJ、INTP、ENTP、ISFJ、ESFJ、ISFP、ESFP、INTJ、ENTJ、ISTP、ESTP、INFJ、ENFJとなる。今回も例によって、上位と下位のタイプのみを紹介する。ENFJと最も互換性があるのは、INFPである。ENFJは人々がどう感じるかを認識しており、INFPは自分がどう感じるかを認識している。ENFJは自分の望みを認識しており、INFPは他人の望みを認識しているので、ここに衝突はない。
そして、SeチャイルドはSiチャイルドに良い経験を与えたいと思っている。ENFJは相手がどんな経験をしているか知っており、INFPは自分がどんな経験を与えられるか知っている。ENFJが自分の人間性について心配し始めると、INFPは我が意を得たりとばかりにENFJを改善しようとする。INFPはとっくにENFJが良い人間であることを心配していたのである。INFPはENFJがどんな経験をしているか興味がない。その代わりに、物を置き忘れても長期記憶で思い出すことができる。ENFJは思い出せない。彼らは他人がどう思っているかも気にしていないが、INFPも自分の考えなど気にしていない。彼らが気にしているのは、自分がどう感じているかである。ENFJとINFPは、競争したり仲良くなったりする。これは心理機能がヒーロー同士であるため起こる現象である。
Feは「あなたのやっていることは非倫理的だ」と糾弾するが、INFPは「私のやっていることは道徳的だ。私は倫理よりも道徳を重視する」と反論する。ENFJが「他の人たちの気持ちを考えて」と詰め寄ると、INFPは「他の人たちが私の気持ちを考えて」と泣き落としに出る。このような衝突は起こるが、話し合いで解決することができるだろう。これら8つの認知スペクトルが出会うと、周波数を同調させて、互いの無線機で通信することが可能になる。
ENFPとENFJの関係は、ヒーローとペアレントが同期するため、謙虚さが組み込まれる。親は英雄に悲観的な意見を訴え、楽観的な英雄はそれに耳を傾けるが、それはあくまでも英雄が上位にあるゆえの態度である。ENFJとINFPは、楽観的なヒーロー同士で相手を叩きのめしたり、悲観的な劣等機能同士で相手を操作しようとしたりする。ENFJとENFPの関係ではそのような問題はないが、彼らは両方とも外向的なので、互換性は2位となる。INFPは内向的なので、応答することを好む。彼らのインタラクション・スタイルは応答・制御・情報提供なので、直接・開始・制御と上手く噛み合う。
ENFJは直観型なので、情報提供者と関わることを望んでいる。ISTJとISTPのような感覚型は率直であることを求めるが、直感的で率直なタイプは情報提供を求める。ENFJが世界を救うために飛び回っていると、ENFPの劣等Siは不快な気分になる。彼らは他の人々ではなく、自分と特別な関係を築くことをENFJに要請する。ENFPは大切にされることを望んでいる。彼らは他の誰よりも特別に扱われたいが、ENFJはどの人間も平等に扱う。自分を称賛してくれる人間は、多ければ多いほど良い。そのため、ENFPは特別感を感じられないことがデメリットである。INFPは既に自分が特別だと感じているため、ENFJにメンテナンスしてもらう必要はない。INFPが不快になると、彼らは家に帰って美味しい料理を食べたり、趣味の世界で夢想する。ENFJはその場でパーティーを続け、Seチャイルドの気が済んだら帰宅する。ENFPはENFJの最優先事項でありたい。
上位4つの関係は、互いの心理機能が自我内で通信できる。FeからFi、NiからNe、SeからSi、TiからTeなど。これらは全ての関係で成立する。ENFJとISTJは、FiチャイルドがFeヒーローを尊敬している。子供はヒーローを手本にして成長していく。対するENFJはSiヒーローに良い経験を与える能力が発達していき、性的能力も向上する。ISTJの女性は多くを期待しているので、Seチャイルドは寝室で全力を尽くす必要がある。機械的な適性も伸ばせるだろう。ISTJに色々な体験を提供し、車や家電を修理しているうちに、必然的にそうなる。これはISFJとの関係でも同様である。
劣等機能は悲観的であるため、ペアレントと連携することを好むが、ペアレントが強くなり過ぎないように注意が必要である。ENFJとESTJでは、互いのヒーローが相手の劣等機能を攻撃して不安を引き起こすので、ペアレントが劣等機能をケアすれば、不安からぬけ出すことができる。互換性が低下するにつれて特定の落とし穴が発生する恐れがあり、特に劣等機能に注意しなければならない。ENFJとESTJはお互いを見て「あなたが与えようとしている経験は子供っぽい」「人の望みばかり叶えようとしているけど、私の望みはいつ叶えるの?」と思う。この関係には互換性があるが、ENFJはESTJに無視されているように感じる。
互換性リストの下から四番目、ISTPとENFJはヒーローがデーモンを追い詰める関係である。デーモンはヒーローに近づこうと努力するが、それは非常に苦痛で精神的エネルギーを消耗するだけであり、最終的に紛争が発生する。相手に手を差し伸べても、それを叩き落とされるだろう。ENFJはISTPが他人の社会的ニーズを満たさないことに悪口を言い、ISTPはENFJが機械的スキルに欠けており、仕事を正しく進めることができないと批判する。これらの紛争は、心理機能が最大限の労力を費やして、影の向こうに到達しようとしているために発生する。超高周波帯域が低周波帯域に突入するようなものである。相手の自我に必要なものが何もない。これは大きなストレスである。
ESTPも似たようなものである。リストの下位にあるSFP、NTJ、STP、NFJに対しては、ENFJの説明責任は大幅に増加する。彼らは常にお互いを精査しているので、多くの責任が伴う。彼らと友達になりたかったらなってもいいが、見極めは重要である。「賢者の周りには多くの相談者がいる」ということを覚えておくべきであろう。あなたを引き上げてくれたり、助けてくれる人もいれば、責任を押しつけたり貶めてくる人もいる。このような人々と関わることも、成長や成熟という意味では有意義なことがある。イエスマンばかりに囲まれていると、心地は良いが発展性はない。
互換性に関して言えば、リストの下位にあるタイプから厳しく監視されることに耐えるのも苦痛だが、調和性が高すぎても身動きが取れなくなる。調和と監視の中庸が大切である。これらの人々と対立するのが悪いわけではない。対立を避けることを推奨しているわけでも、対立することをけしかけているわけでもなく、ただ「相性が悪い」という真実を述べているだけである。
そういうわけで、ESTPはENFJに責任を負わせる。ENFJとINFJも同様である。彼らは同じNFJとしての仲間意識が強いが、1対1だと衝突して、お互いに責任を負わせようとする。彼らは自分の方が相手より倫理的だと思っており、互いの影に隠れて自我のニーズを満たそうとする。理想的な関係ではないが、仲間意識は強いので、いざという時には結託して共通の敵を悪者に仕立て上げることができる。同志として共闘することはできるが、機能的な互換性は低い。
ENFJとENFJの関係は、全く互換性が無い。このタイプの親友同士は、どちらかがタイプを誤認している。自分が救おうとしている人間を別のENFJが救ったり、自分より倫理的な人間として認識されているENFJがいたとしても、仲良くなりたくないだろう。同タイプの関係は非常に稀である。数百問の質問に答えている暇があったら、気質とインタラクション・スタイルを参考にして、タイプを再考した方がいい。ヒーローは自我の頂点であり、ネメシスは無意識の頂点である。したがって、この関係はデフォルトで敵対しているに等しい。「私はあなたより道徳的なのに、あなたの方が評価されているのは気分が悪い。こんなことを思うなんて悪い人間かもしれないけれど、あなたが私についてどう思っているかなんて知りたくもない」といった感じである。
ENFJが同じENFJを励まそうとしても、その言葉は相手に届かない。偽善者でもなければ、わざわざそんなことはしないだろう。同じタイプの人々と関係を持つべきではない。同じタイプが身近にいると、不必要な対立が勃発するので、彼らを避けて十分な活動を行えるスペースを設けるのがいいだろう。そして自分の領域を相手が侵してこないことを祈っておけば、お互いに幸せになれることは間違いない。
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