このブログのテーマはダークサイドと人間関係である。他にも興味のあること、扱いたいことは色々あるが、第一の主軸はタイプ関係を構築して、それを読者に提供することである。ただし、それは「人間は皆わかり合える」とか「あなたはありのままで素晴らしい」というメルヘン調の幻想ではなく、リアリスティックなものでなければならない。素晴らしくないから人間関係で悩むのである。しかし、私は「変われ」とは言わない。いずれその話もするかもしれないが、それは今ではない。変わりたくないのだろう?それは相手も同じである。余程のことがない限り、相手があなたの為に自分を変えようとすることはない。であるならば、各タイプの性質を学び、彼らとどのように付き合っていくか考えなければならない。

とはいえ、人間関係と言っても色々ある。恋愛関係、仕事上の関係、親子関係、あるいは友情、それらは全て別々の関係である。これらを「タイプの関係」でひとまとめに語ることはできない。タイプの関係について扱っている書籍は色々あるが、私の理論はそれらとは別物である。勿論、公式とも関係ない。公式の興味はテストの売り上げ額で、受講者の人間関係ではない。ということで、私の記事が役に立つだろう。ここでは全ての基本となる一般的な人間関係について取り上げる。これはタイプが生まれつき持っている性質を基にした友人関係である。まずは簡単なルールを抑えてもらいたい。

ルール1:全ての原則は心理機能を基準としている。

ルール2:二点間の最短距離は直線である。

何を言っているか分からない人は「認知的シンクロニシティ」の記事を読んでもらうとして、この記事ではESTJの一般的な人間関係について取り上げる。繰り返すが、これは全ての人間関係の基本となる、心理機能を基準としたタイプ同士の友人関係である。これを基盤として、あらゆる人間関係が展開する。ESTJにとって最高の相性はISTP、最低は同じESTJである。

同タイプ同士は基本的にライバル関係である。二人のESTJが並び立つことはできない。より合理的で経験値の高い方が「優れたESTJ」としてその役目を全うする。算命学では「宿命の消化度が高い方が覇権を握る」と言うが、敗れた方は勝者の影になる。つまり、多数派が必ずしも良いとは言えないのである。自分と同じタイプが多ければ多いほど、勝たなければならない相手は多くなる。この関係は基本的に全てのタイプに適応される。とはいえ、なかには例外もある。INFJとENTPである。例外と言っても、「相性が良い」という意味ではない。彼らについては別に説明が必要だろう。

ESTJにとってのトップ4、つまり相性が良い四天王はISTP、ESTP、INFJ、ENFJである。次に中間、いわゆる「表面的な関係」はNTJ、NTP、SFP、SFJである。そして最低の関係はINFP、ENFP、ISTJ、ESTJとなる。先ほども言ったように、ESTJにとって同じESTJはステータスを競い合うライバルなので、最下位に位置する。ここで言う「相性が良い」とは一般的な友人関係を指していることを忘れないでもらいたい。別の関係ではまた別の法則が適用される。友人から恋人に、仕事仲間から友人になることもあるだろう。ある関係が別の関係へのゲートウェイになることもある。これは心理機能にも同様のことが言える。ある機能が別の機能へのゲートウェイになり、私たちは心にある別の側面にアクセスする。

ESTJと最も上手くやれるのはISTPである。彼らはお互いの影にある。カーシーによるとESTJとベストカップルになるのはISFPだが、それはまた別の関係である。TeヒーローはTiユーザーを必要としている。「頭が悪い」と思われるのは、彼らの矜持に関わるのである。だからせっせと本を読んで知識を集めるのだが、いつも本を持ち歩くわけにはいかないので、何が正しいか誰かに聞かなければならない。そこでISTPの出番である。「ISTPさん、これについてどう思いますか?いいバイクですね。ついでに私に何か経験させてくれませんか?」といった調子である。

ESTJは自分がどう思われているか不安を抱えている。ISTPの不安は相手の感情を傷つけることである。ISTPは相手が道徳的であろうと不道徳であろうと気にしない。外向内向を問わず、劣等Fは非常に純粋な感情の持ち主だという話がある。そうは見えなくても、ガラスのハートなのである。もっとも、私は自分を純粋だとは思わないが。よくINTJと言われるのはそのせいかもしれない。この組み合わせはお互いの弱点に触れ合わない関係になる。さらにESTJはISTPの感情に興味がない。ISTPも自分の感情に興味がない。二人は興味のないことが一致しているのである。

ISTPの次点はESTPである。ESTPはトリプル・ダイレクトであり、同じイン・チャージであるESTJと意志の疎通がしやすい。いくら頭が良くても、INTPの長話にはうんざりするのである。TiペアレントはTeヒーローの、SiペアレントはSeヒーローの責任を取るにはうってつけである。しかしヒーローは世界を救っているつもりなので、文字通り余計な「お世話」と感じるかもしれない。これはどの関係にも言えることだが、「タイプ」としての相性に加えて、「育ち」や「性別」などの要素を考慮しなければならない。これについては今後に期待してもらいたい。しかし原則として、誰かと関係を結ぶのは自分のニーズを相手が満たしている時である。そう、外向機能と内向機能は互いのニーズを満たし合う。

ENFJやINFJはESTJの気分を良くさせる名手である。「流石ESTJさん!頼りになります」とでも言っておけば、ESTJは天にも昇る心地になる。彼らにとっては赤子の手を捻るようなものだろう。胡散臭い人道支援活動や宗教的な集会にも間違って顔を出すかもしれない。ENFJはそのような活動が相手にとって素晴らしい経験になると信じている。INFJはそこまで自信がないが、「参加して欲しい」という強い意志によってNeチャイルドを洗脳することができる。

ISTPやESTPと相性が良い理由?距離が近い方が通信しやすいだろう。ヒーローからヒーローに通信する方が、ヒーローから劣等機能に通信するよりもエネルギーの消耗は少ない。私は常々Niを電波と呼んでいるが、電波をキャッチしやすい条件というものは存在する。それと同じことである。自我が機能するために必要なものは全て影から提供される、これが重要なポイントである。これは潜在意識や超自我でも成立するが、ここでは自我と影にある八つの機能を対象として話を進める。

そういうわけで、ESTJとINFPが友人になることは難しい。この「双対関係」については改めて取り上げる必要があるが、とにかく彼らは友情を築くことに多大なエネルギーを要する。中立的な関係、あるいは知り合いにはなれるだろう。しかし、TeヒーローとTiデーモンの心の距離は果てしなく遠い。INFPが傍にいると、ESTJは自分の頭が悪いのではないか、という不安に襲われる。同様のことがENFPとの関係にも言える。Tiトリックスターは何も考えていないように見えるので、ESTJは自分の正しさを確認することができない。逆に、ENFPが何かを売り込みたいと思っても、ESTJは何も欲しがらない。

ESTJとISTJは良さそうな関係に思えるが、実際は悪い。ISTJはESTJが何を望んでいるかわからないので、常に劣等機能の不安を刺激される。ESTJ同士ともなると最悪である。どちらも相手の経験を批判し合い、身なりからステータスを推し量るので気を抜くことができない。さらに彼らはお互いの気分を良くすることに興味がなく、相手のNiトリックスターがNeチャイルドを発揮することを阻む。つまり、相手が自分の気分を良くしてくれる見込みはないので、得るものがない。

これがESTJの基本的な人間関係である。ちなみに、私が中立的なタイプに触れていないのは怠慢ではなく、7を意識している結果である。「7つの大罪」「7不思議」「ラッキー7」など、人間は7に縛られている。決してESTJに興味がないからではない。しかしオタクは種類が多ければ多いほどいいだろうから、次からは「どうでもいい人たち」にも触れるかもしれない。

そういうわけで、「同じタイプだから価値観が似ていて上手くいく」という浅はかな認識を改めていただくことはできただろうか。表面上は話が合っているように見えるかもしれない。本当は口に出さないが我慢しているだけである。N型がSJに我慢しているように、SJもSJに我慢しているのである。偽善者はそのような状態を指して「タイプ関係なく仲良くできる」とのたまうが、私はそのような主張を聞くたびに不純物を飲み込まされたような気分になる。彼らには何も見えていない。以前も言ったように、自分のことすらわかっていない者同士が仲良くできるはずがないのである。ここでユング御大の言葉を引用して、記事を終えることにする。

各タイプは異なる言語を話します。争いは悪意、暴力と互いへの嘲笑に満ちています。一方に価値のあることが他方には無価値です。二人はお互いを貶め合うのです。

カール・ユング