ここまでユング分析心理学に従って16タイプのプロファイルを紹介してきたが、8番目のタイプとして登場してもらうのはENFPである。彼らは直観的なスタータータイプであり、イベントを開始して周囲の人々に情報提供しようとする。今回はそんなENFPの薄汚さを含めて紹介する。
ENFPは他の人々に最高の知識、最高の知恵を授けて、それを理に適った体系的な方法で人々に届けることができる。人々に適切なアイデア、適切な思考を提供し、それを素人でも理解できるシステムや素敵なパッケージに仕立て上げる。その素人はENFPの信者になるかもしれない。
ENFPの美徳は慈善活動である。ENFPは誰に対しても非常に慈善的である。お優しいことだろう。しかし、彼らの慈善活動には条件が付いている。その契約書に書かれた条件を、ENFPは事前に教えようとしないだろう。彼らのTeチャイルドは、細かい文字で書かれた契約書を読む必要がある。ESFJが人生と秘密の契約を結ぶように、ENFPも接触する全ての人々と潜在的な秘密の契約を結んでいる。
多くのENFPは操作的であったり利己的であるとして、悪い評判を得る。彼らはしばしば、その罪をENTPに擦り付ける。ENFPの美徳は慈善だが、悪徳は堕落である。堕落したENFPの代表者は、「悪霊」のスタヴローギンやカルト教祖のマンソンであろう。彼らは非常に利己的である。他人に誠実であることは、彼らにとって重要ではない。ENFPはカメレオンのようなものである。
しかし大抵の場合、ENFPは根っからの悪人ではない。先進社会に生きるENFPたちは、人々が自分たちを本当には受け入れてくれないという葛藤を抱えている。人々の評価はこうである。「ENFPさん、あなたは斬新ですね。でもハンマーで釘を打つことさえできないようだ」。これは彼らを悩ませるので、ENFPたちは自分が不十分な存在だと思いながら生きている。さらに悪化すると、自分には何の価値もないと思い詰める。
そんな可哀そうなENFPは、救命に役立つ情報であれ、男らしさを育む情報であれ、断片的な知識を与えてくれる。彼らは一見すると斬新だが、役立たずで価値のない人物に見える。だがENFPがTeチャイルドの力を使っている限り、彼らは非常に有用である。
まず、ENFPにはNeヒーローがある。これは他者が望むものや、それを望んだ先に何が起こるか予想する。ENTP同様、彼らも先見性を持っており、可能な道筋を全て認識することができる。彼らは頭の中であらゆるシナリオを検討した上で、自分自身、場合によっては他人にとって最良のシナリオを選択する。それから他の人々も、そのシナリオに参加させる。チェスの駒のように、盤上に駒を配置して刺激する。Neヒーローは時間の第一法則を知っている。以前に起こったことは全て、また再び起こるだろう。
ENFPは道徳的な方法でそれらを行う。彼らにとっては、自分がどう感じるかが全てである。ENFPは自分の気持ちに非常に敏感なので、その結果として無気力になったり利己的になったりする。そんなENFPを見つけたら、Feクリティックに「あなたの怠惰が周囲の人々を傷つけている」と言ってやらねばならない。彼らは自分の過ちに気づき、他者に貢献するように努めるだろう。ENFPは他者貢献することで気分が良くなる。それは家族に対してかもしれないし、何らかの社会活動かもしれない。あるいは、アイデアを街中で売り込むことかもしれない。
ENFPは素晴らしいマーケター、あるいはセールスマンになる。INFPを抑えてトップに立つだろう。彼らはブランドの価値を知っており、ブランドを構築することができる。自分がブランドになるだけでは飽き足らず、他人をブランディングすることも得意である。何しろ、Teチャイルドはブランドが大好きなので、どんなラベルが貼ってあるかが全てである。「ENFP」というブランドも気に入っていることだろう。
Teチャイルドにはテレパシー能力がある。彼らは他の人々が何を考えているか把握しており、人々の考えを変えたり、操作することができる。それは必ずしも悪意があってのことではない。人々がより良い未来を迎えられるように、あるいはENFPが思い描いている壮大なビジョンの歯車となってもらうために、人々の立場を決めたり、考えを頭の中に入れようとしているだけである。
ENTPと同様にENFPも未来志向である。彼らは理想的な未来を創造し、人々をそこに導きたいと思っている。しかし問題は、Teチャイルドは真実を判別することができない点にある。
彼らは道徳的だが、道徳は全て「私がどのように感じるか」、つまり彼らのお気持ちの問題であるため、他人がどう感じるかを問題としない。ENFPは自分に同情することに忙しく、他人への共感力に乏しい面がある。他の人々に共感し、より良い明日を迎えるために、皆を引率する義務があることをENFPに思い出させる必要がある。ENFPが堕落すると、皆ではなく自分自身により良い明日を提供しようとする。
ENFPは全タイプの中で最も操作的、あるいは嘘つきのタイプである。これは何故かと言うと、Tiトリックスターにとっては、何でも真実だからである。彼らにとっては、他の人々の信念を変えることが全てである。ENFPは必ずしも自分が嘘を吐いていると自覚していないが、ブランドによって信念を変えることは嘘を吐いているようなものである。信念は真実とは何の関係もない。真実は認識に関するものだが、ENFPが気にするのは集合的な信念、「皆が本当だと信じていること」である。
また、Tiトリックスターにより自分が愚かだと感じることがあるが、これは読書によって克服できる。ISTJ潜在意識は歩く百科事典である。ENFPは文字通り、アレクサンドリア図書館になることができる。ENFPは多くの本を読み、その中から重要なデータを抜き出して、速読する能力を持つ。ESFPも同じ能力を持っている。Teチャイルドは流行の本を読み、その中で取り上げられている主なアイデアを全て吸収しようとする。馬鹿に見えないように必死である。
彼らは自分があまり賢くないことを内心ではわかっているので、日常的に本を買いまくっている。賢い人々が書いた本から論理的根拠を吸収し、それを自分でも使えるようにするのである。それはENFPの自我の中で論理的根拠となる。自分よりも賢い人々に囲まれているか、本を買って読まないと、彼らは何でもかんでも同じものだと思い込む。しかし一度読んだことはSiで覚えているので、有能になりたいENFPには読書が欠かせない。
勿論、ISTJの自我はそれ以上の知識量を誇るだろうが、ENFPが理想的な未来を描くための道筋を見つけ出すためには、それで十分である。ENFPとENTPは両者共にパスファインダータイプである。ENTPは論理的かつ体系的にそれを行うが、ENFPは人々に焦点を当てた理想主義的な観点からそれを行う。
Fiペアレントは、ISTJ潜在意識と可能な限り最良の契約や合意を結ぶことで、Teチャイルドを守ろうとする。ISTJは非常に法律に詳しく、ENFPに敵対する者から利益を守るために、素晴らしい契約書を作成する。彼らは取引を行った結果、将来的に何が起こるか心配しているので、全ての法律用語が正しく使われているか念入りに確認する。
ENFPは堕落してスタヴローギンやマンソンのようになる危険性がある。Feクリティックに訴えて、自分だけでなく他人に共感する必要があること、利己的になってはならないことを教えないといけない。ENFPが慈善活動に目覚めれば、大金を配ったり、街中でメガホンを持って福音を唱えることも厭わない。
彼らはISTJ潜在意識を使って、誰かを金持ちにしたり、有名にしたり、自分の地位を高めるために最高のアイデアを見つけ出す。Teチャイルドはステータス至上主義である。Tiトリックスターにより、ENFPにとっては何でも真実になる。彼らは真実ではなく、ブランドやラベルを重視する。知ってのように、人々は有名ブランドのラベルさえ貼ってあれば、中身はどうでもいい。ENFPはラベルやブランドを利用して、必要のないもの、価値のないもの、役に立たないものを売りつける。人々は自分の頭で考えられないので、何でも買うだろう。
ENFPはこのスキルを良いことに使う場合もある。選挙で特定の候補者を支持すると、マーケティングによってその候補者を露出させ、他の人々に売り込む。彼らはその候補者を心から気に入っており、その選挙運動に関わることを有意義だと思っている。彼らは全力を尽くして候補者のブランドを構築し、票集めに奔走する。これがENFPの力である。
しかしENFPを不快にさせたり、ステータスや評判を破壊しようとすると、Seデーモンが姿を現す。超自我ESTPは、相手を倒すために暴力も辞さない。以前の取引を持ち出して、「私はあなたに報復する権利がある」と理路整然と説明するかもしれない。ENFPが不快になればなるほど、Seデーモンは暴力的になる。だから彼らが共感を示さなかったり、利己的である場合は警戒しなければならない。
ENFPの目の前で同じ行動を取った場合、彼らはそれを覚えており、同じ行動を予測する。ENFPと対決しなければならない場合、全く予期せぬ行動を取らなければならない。外向的感覚を使って、劣等Siを恐怖に陥れるのである。ENFPは今まで経験したことがない状況から撤退し、水晶玉に何が起こったのか尋ねる必要がある。
ENFPの宿敵はESTPである。ENFPが学校で同級生たちを利用しようとしていると、ESTPは適切な経験を与えて、ENFPを追い払う。逆も然りである。ENFPは、いじめっ子のESTPの悪い評判を流し、ESTPの立場を破壊する。するとESTPのFeチャイルドは傷つき、孤独に追いやられるのである。この手のPRキャンペーンでENFPの右に出る者はいない。盛者必衰の理とはこのことであろう。
ENFPは理想主義者である。彼らが自分自身だけでなく他人にも焦点を当てれば、理想的な未来をもたらすことができるだろう。ただし、その未来は必ずしも高尚なものではない。彼らはブランド、ステータス、名声が大好きである。雑誌に載ったり、注目されたり、尊敬されることを目指している。彼らは他人が自分をどう思っているかによって自身の価値を判断するので、他人の考えを常に気にしている。
そして彼らは常に快適でありたい、安全を感じたいと思っている。ENFPは関係している人間の行動パターンをNeヒーローで認識している。しかし、これまでと異なるパターンや、見たことのない行動を取れば、ENFPを惑わせることができる。
どのタイプにもプラス面とマイナス面がある。ENFPの場合は利己主義に陥ったり、成功の為に法的手段をどう使うかが問題である。共感性を思い出させれば、ENFPは操作能力を活用して、自分が信じる者をサポートし、そのブランド構築に力を尽くすだろう。この記事を参考に、ENFPたちは良い人間になって、人々を助けられるようになって欲しい。いつかENFPの人々は私に感謝することだろう。
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